権利能力のない社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属し、社団の総有財産だけがその責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し個人的債務ないし責任を負わない。
権利能力のない社団の取引上の債務と社団構成員の責任
民法33条,民法427条,民法675条,民訴法46条
判旨
権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、構成員全員に総有的に帰属し、社団の総有財産のみが責任財産となる。したがって、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務ないし責任を負わない。
問題の所在(論点)
権利能力なき社団の代表者が社団の名で行った取引債務について、社団の構成員各自が債権者に対して直接の個人的債務ないし責任を負うか。社団債務の帰属と責任財産の範囲が問題となる。
規範
権利能力なき社団の代表者が社団の名においてした取引上の債務は、社団の構成員全員に一個の義務として総有的に帰属する。また、その債務については社団の総有財産のみが責任財産となり、構成員各自は、取引の相手方に対し、直接には個人的債務または責任を負うものではない。
重要事実
D栄養食品協会(以下、協会)は、権利能力なき社団としての実体を有する組織であった。協会の代表者であるEは、協会の名において上告人ら(債権者)と取引を行った。上告人らは、当該取引によって生じた債権に基づき、協会の構成員である被上告人らに対し、直接その支払いを求めて提訴した。
あてはめ
本件において、協会は権利能力なき社団の実体を有しており、被上告人らはその構成員である。代表者Eが協会の名においてした取引債務は、構成員全員に総有的に帰属する。この場合、責任財産は協会の総有財産に限定され、構成員各自の固有財産が責任の対象となることはない。したがって、被上告人らが個人的に直接の義務を負担すると解する余地はない。
結論
被上告人ら構成員は、上告人らに対し直接の義務を負わない。よって、上告人らの請求を棄却した原判決は正当である。
実務上の射程
権利能力なき社団の外部責任に関するリーディングケース。答案上では、組合(民法667条以下)との対比で重要となる。組合債務については各組合員が分割責任または連帯責任を負うのに対し、権利能力なき社団では「構成員の有限責任(責任の不連鎖)」が認められる。ただし、この法理は「取引上の債務」に関するものであり、不法行為責任等に当然に妥当するかは別途検討を要する点に注意する。
事件番号: 昭和34(オ)130 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
代表者の定めがある民法上の組合は、訴訟当事者能力を有する。