財産権上の請求にかかる訴訟物の価額の算定が著しく困難な場合、裁判長又は裁判所は、その算定にとつて重要な諸要因を確定し、これを基礎とし、栽量によつて右価額を算定することができる。
訴訟物の価額の算定が著しく困難な場合におけるその算定方法
民事訴訟用印紙法(明治23年法律第65号)2条,民事訴訟用印紙法(明治23年法律第65号)5条,民訴法22条1項
判旨
将来の営業収益を基礎とする財産権上の請求など、訴額の算定が著しく困難な場合には、過去の収益等の客観的指標に基づき、裁判所が裁量によってその価額を評価算定できる。
問題の所在(論点)
将来の営業収益を基礎とする権利(営業受託者の地位など)の確認を求める訴えにおいて、その価額の算定が困難な場合の訴額算定の基準および裁判所の裁量の可否が問題となる。
規範
財産権上の請求であって、その価額の算定が著しく困難なものについては、裁判所は算定の重要な諸要因を確定し、裁量によって価額を評価算定しうる。将来の営業収益を基礎とする場合は、異常な事情のない過去少なくとも3年間の収益等に準拠して将来収益の現在価額を求めた上、一般的経済状況や業界・企業内の個別事情等の変動要因を考慮して算定すべきである。
重要事実
上告人らは、被上告人らとの間のホテル営業委託契約に基づき、営業受託者たる地位の確認等を求めて提訴した。上告状に貼付すべき印紙額の基礎となる訴額について、上告人らは受託手数料の算定が困難であるとして少額の印紙のみを貼用した。これに対し、裁判所は当該ホテルの将来の営業収益を予測し、訴額を10億円と算定して印紙の追貼を命じたが、上告人らがこれに応じなかった事案である。
あてはめ
本件(1)の営業受託者たる地位の確認請求は、残存期間中に受けるべき委託手数料を基準に算定すべき財産権上の請求である。将来の営業収益は経済状況や経営状況により変動するため正確な予測は困難であるが、過去の収益実績という客観的事実を基礎としつつ、将来の不確定要素を考慮した評価を行うことは可能である。したがって、本件においても過去の収益状況等に照らして算出された10億円という訴額算定は、裁判所の合理的な裁量の範囲内として是認される。
結論
本件訴額は10億円と認められ、所定の印紙を追貼しない本件上告は、不適法であり欠缺を補正することができないため却下される。
実務上の射程
訴額算定が困難な場合の裁判所の裁量的認定を認める実務上の指針。答案上は、民事訴訟費用等に関する法律等に基づく訴額算定において、客観的な算定が困難な場合の具体的・合理的な算定手法(過去の実績+将来の変動予測)として引用する。
事件番号: 昭和49(オ)333 / 裁判年月日: 昭和51年9月21日 / 結論: 棄却
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