自動車の有料貸渡業者が、自動車貸渡契約を締結するに際し、自動車の利用申込者につき、運転免許その他一定の利用資格の有無を審査し、右契約上、使用時間は短期で、料金も相当高額にのぼるほか、借主が予定利用時間、走行区域、制限走行距離の遵守等の義務を負うなど判示の事実関係があるときは、貸渡業者は、借主の運行による事故につき、自動車損害賠償保障法三条による運行供用者としての責任を免れない。
自動車の有料貸渡業者から自動車を借り受けた者の運行による事故につき貸渡業者に自動車損害賠償保障法三条による運行供用者責任が認められた事例
自動車損害賠償保障法3条
判旨
自家用車を有料で貸し出すレンタカー業者は、運転資格の確認、同乗審査、利用時間の制限、走行区域の指定等を通じて車両の運行を管理している場合、自動車損害賠償保障法3条の「運行供用者」に該当する。
問題の所在(論点)
レンタカー業者(自動車賃貸業者)が、賃借人に車両を貸し出している間に発生した事故について、自賠法3条の運行供用者として賠償責任を負うか。
規範
自賠法3条の「自己のために自動車を運行の用に供する者」(運行供用者)とは、当該自動車の運行を支配し(運行支配)、その運行から生ずる利益(運行利益)を享受する者を指す。自動車賃貸業者がこれに当たるかは、賃貸契約の態様、車両管理の程度、利用者の選別および監視状況等を総合考慮して判断される。
重要事実
自家用車有料貸渡業を営む上告会社は、所有車両の利用申込に対し、免許取得後6か月経過の確認や、交通法規全般に関する同乗審査を行い、資格がある者にのみ貸し出していた。利用者は、予定利用時間・走行区域の遵守、事故発生時の連絡を義務付けられていた。本件では、運転資格に達していない訴外Dに対し、走行距離300km以内、山道・坂道の走行禁止という特別の条件を付して貸し出したところ、Dが運転中に事故を惹起した。
あてはめ
上告会社は、(1)免許確認や同乗審査により運転者を厳格に選別し、(2)利用時間や走行区域を制限し、事故時の報告を義務付けることで車両を管理下に置いていた(運行支配)。また、(3)走行距離や時間に応じた高額な料金を収受しており、経済的利益を得ていた(運行利益)。特に本件では、不適格なDに対し具体的走行条件を付して運行を許容しており、依然として運行を支配・管理していたといえる。したがって、事故当時、上告会社は運行支配および運行利益を有していたと解される。
結論
上告会社は自賠法3条の運行供用者に該当し、本件事故について損害賠償責任を免れない。
実務上の射程
レンタカー業者の運行供用者性を肯定したリーディングケースである。答案上は、運行支配と運行利益の二要素を立てた上で、業者の審査体制や契約上の拘束力に着目してあてはめる。なお、本判決では傍論で死者の慰謝料請求権の相続性も肯定されている点に留意が必要である。
事件番号: 昭和45(オ)39 / 裁判年月日: 昭和46年11月16日 / 結論: 棄却
甲が乙に自動車を貸し渡し、乙の被用者が運転中に事故を起こした場合において、右貸渡は、自動車の販売会社である甲が、乙に売却した中古車の整備、登録、検査などが済むまでの間、代わりの車を貸してほしい旨乙から依頼され、右売却した自動車を引き渡すのと引換えに返してもらう約束をして、暫定的になされたものであるなど、判示のような事実…