未登記立木に対する強制執行は、民訴法六二五条に基づき、立木を伐採する権利を差し押え、これを換価する方法によるべきである。
未登記立木に対する強制執行の方法
民法625条
判旨
未登記立木に対する強制執行は、不動産でも動産でもなく、伐採権を対象とする特別の執行手続(旧民訴法625条)によるべきであるが、解釈が分かれている場合に一方の見解を採用した公務員に過失はない。
問題の所在(論点)
法律解釈が分かれている事項について、公務員が一方の見解に基づき職務を遂行した結果、その解釈が後に誤りと判断された場合に、国家賠償法1条1項の「過失」が認められるか。
規範
法律解釈につき異なる見解が対立し、実務上の取扱いも分かれていて、そのいずれについても相当の根拠が認められる場合、公務員がその一方の見解を正当と解して公務を執行したときは、後にその執行が違法と判断されたとしても、直ちに国家賠償法1条1項の過失があったとは認められない。
重要事実
執行吏Dは、未登記立木に対する強制執行の委任を受けた。当時、未登記立木への執行方法については、①有体動産執行、②立木伐採権に対する特別換価(旧民訴法625条)、③不動産執行の3つの見解が対立していた。Dは参考書等で調査の上、有体動産執行として手続を実施したが、後に最高裁は②の見解を採用し、Dの手続は客観的に違法と判断された。
あてはめ
未登記立木の執行方法について、当時実務では有体動産執行の例も少なくなく、その論拠にも一応の首肯すべき点があった。Dは職務執行に際し、漫然と判断したのではなく、参考書等に基づき一応の調査を行った上で、当時の有力な一説を正当と判断している。このように複数の有力な見解が対立している状況下で、合理的な根拠に基づき一説を選択した以上、結果的にその解釈が違法とされても注意義務違反としての過失は認められない。
結論
本件強制執行は客観的には違法であるが、執行吏Dに過失があったとはいえないため、国家賠償請求は棄却される。
実務上の射程
公務員の過失の有無を判断する際の「職務上の注意義務」の基準を示す。法令解釈が未確立な分野において、公務員が合理的な調査・検討の上で一見解に依拠した場合には過失が否定されるという「解釈上の過失」の限定理論として機能する。
事件番号: 昭和45(オ)886 / 裁判年月日: 昭和49年12月12日 / 結論: 棄却
競売法による不動産競売手続において配当異議訴訟が提起された場合には、競売裁判所は、異議ある債権の配当額を供託すべきである。