一、旧物品税法(昭和一五年法律第四〇号)一八条三項により物品税を徴収される「犯人」とは、法人を含み、かつ、刑事裁判により有罪が確定した者に限られないと解すべきである。 二、関税法(昭和四一年法律第三六号による改正前のもの)一一八条により犯罪貨物が没収され、または没収に代わる追徴金が納付された場合には、右犯罪貨物につき、泊物品税法(昭和一五年法律第四〇号)一八条三項により物品税を賦課・徴収することはできない。
一、旧物品税法(昭和一五年法律第四〇号)一八条三項にいう「犯人」の範囲 二、関税法(昭和四一年法律第三六号による改正前のもの)一一八条による犯罪貨物の没収または追徴と旧物品税法(昭和一五年法律第四〇号)一八条三項による物品税の賦課・徴収の許否
旧物品税法(昭和15年法律第40号)18条3項,旧物品税法(昭和15年法律第40号)22条,関税法(昭和41年法律第36号による改正前のもの)118条1項,関税法(昭和41年法律第36号による改正前のもの)118条2項
判旨
物品税法18条3項にいう「犯人」には両罰規定により罰金刑に処せられる法人も含まれ、刑事裁判の確定前であっても課税処分は可能である。また、密輸品等の没収・追徴が行われる前であれば、二重課税の禁止に触れず物品税を賦課徴収することができる。
問題の所在(論点)
1. 物品税法18条3項の徴収対象となる「犯人」に法人が含まれるか、また刑事裁判の確定が必要か。 2. 関税法上の没収・追徴と物品税の賦課徴収が重なる場合の適法性。
規範
1. 物品税法18条3項(逋脱税額の徴収)にいう「犯人」には、同法22条に基づき処罰される法人を含み、かつ刑事裁判による刑の確定を要しない。 2. 関税法所定の犯罪に係る貨物について、刑事裁判の結果として没収または没収に代わる追徴金の納付があった場合には物品税を徴収できないが、これらがなされるまでは物品税の賦課徴収は妨げられない。
重要事実
上告会社(法人)の従業員Dは、米軍属Gの免税特権を悪用し、G名義で自動車を不正に免税輸入して保税地域から引き取った。税務当局は、上告会社を物品税法上の「引取人」かつ「犯人」とみなして物品税の課税処分を行った。これに対し上告会社は、刑事裁判が確定していないことや、関税法上の没収・追徴の可能性による二重課税の不当性を訴えて処分の取消しを求めた。
あてはめ
1. 従業員Dが会社の業務に関し不正手段で輸入した以上、上告会社は物品税法4条の「引取人」に該当し、22条により罰金刑に処せられるべき地位にある。18条3項の趣旨に照らせば、同条の「犯人」にはこれら法人も含まれ、刑事手続の完了を待たずに徴収できると解するのが相当である。 2. 本件課税処分当時、刑事裁判による没収や追徴金の納付は未だ行われていなかった。没収等の確定前であれば、課税処分を行うことに何ら違法はなく、二重課税の問題も生じない。
結論
物品税の課税処分は適法である。刑事手続による没収・追徴が現実になされるまでは、税務当局は「犯人」である法人に対して物品税を賦課徴収することができる。
実務上の射程
行政上の課税処分と刑事上の没収・追徴の関係を整理した判例。刑事手続が先行・確定していなくとも行政処分が可能である点、および現実に没収等が行われない限りは二重処罰的な不利益とは評価されない点を確認しており、租税法と刑罰法の交錯場面での判断指針となる。
事件番号: 昭和38(あ)1578 / 裁判年月日: 昭和40年5月25日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】法人の通告処分履行があっても、別個の違反行為者である代表者個人に対する通告処分の履行がない以上、当該個人を起訴し処罰することは、憲法39条の二重処罰の禁止に抵触しない。 第1 事案の概要:被告人が代表取締役を務める有限会社「家具のA」に対し、通告処分がなされ、同会社はこれを履行した。一方で、代表者…