一、恩給法の一部を改正する法律(昭和二八年法律第一五五号)附則一〇条にいう旧軍人または旧準軍人の「遺族」の範囲は、日本国憲法施行の日の前日である昭和二二年五月二日までに給与事由の生じた場合については、恩給法の一部を改正する法律(昭和二三年法律第一八五号)による改正前の恩給法七二条一項の定めるところによる。 二、恩給法の一部を改正する法律(昭和二八年法律第一五五号)附則一〇条一項二号は、憲法一三条、一四条、二四条に違反しない。
一、恩給法の一部を改正する法律(昭和二八年法律第一五五号)附則一〇条にいう旧軍人または旧準軍人の「遺族」の範囲 二、恩給法の一部を改正する法律(昭和二八年法律第一五五号)附則一〇条一項二号の合憲性
恩給法の一部を改正する法律(昭和28年法律第155号)附則10条,憲法13条,憲法14条,憲法24条
判旨
戦死した旧軍人の遺族に対する扶助料受給権者の範囲について、戦前の旧恩給法(家制度)を基準とすることは、個人の尊厳や平等を定めた憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
昭和28年法律第155号附則10条1項2号ロにいう「遺族」の範囲を、憲法施行前の旧恩給法(家制度に基づく旧法)の規定によって決することは、個人の尊厳と両性の本質的平等を定めた憲法の諸規定に違反するか。
規範
扶助料を給する趣旨・目的は、公務員等の死亡当時において一定の身分関係にあった者の生活保障にある。したがって、遺族の範囲の判定は、特段の規定がない限り、当該公務員等の死亡当時に施行されていた法令によるべきである。また、憲法が家制度を否定したからといって、過去の法律関係に基づき形成された既得権や期待権の根拠までを遡及的に否定するものではない。
重要事実
上告人は、昭和19年にグアム島で戦死した陸軍大尉の父である。昭和28年の恩給法関連改正(法律155号)により軍人恩給が復活した際、上告人は同法附則10条1項2号ロに基づき扶助料を請求したが、当局は、遺族の範囲を昭和23年改正前の旧恩給法(家制度に基づく規定)により判断し、上告人を遺族に該当しないとして棄却した。上告人は、家制度を前提とする旧法の基準を用いることは憲法14条や24条等に違反すると主張した。
事件番号: 平成12(行ツ)191 / 裁判年月日: 平成14年7月18日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)の締結後,いわゆる在日韓国人である旧軍人等に対して何らかの措置を講ずることなく恩給法9条1項3号を存置していたことは,憲法14条1項に違反するということはできない。
あてはめ
本件における扶助料の給与事由(軍人の死亡)は昭和19年に発生しており、当時の法令によれば「遺族」の範囲は旧恩給法72条1項によって定まる。昭和28年の軍人恩給復活は、凍結されていた過去の権利を回復させる性質のものである。憲法が家制度を認めない立場を採るとしても、それは憲法施行後の新たな法律関係を律するものであり、死亡当時の身分関係を基準に受給権の有無を判定する際に旧法を適用することは、過去の法律関係を整理する合理的な基準といえる。したがって、旧法基準の採用が直ちに基本的人権の侵害や法の下の平等に反することにはならない。
結論
憲法13条、14条、24条等に違反しない。昭和28年法律第155号附則にいう遺族の範囲を旧恩給法により判断した原審の判断は正当である。
実務上の射程
新憲法施行後の立法であっても、給与事由が憲法施行前にある場合、その権利義務の基礎となる身分関係の判定に旧法(家制度等)を適用することの合憲性を認めた事案である。法の不遡及の原則や、過去の事実に基づき発生する公法的権利の確定手法を検討する際の参考となる。
事件番号: 昭和28(オ)1144 / 裁判年月日: 昭和30年9月23日 / 結論: 棄却
委託又ハ郵便ニ依ル戸籍届出ニ関スル法律(昭和一五年法律第四号)第一条の規定に基く戸籍届出委託確認の審判は、戸籍届出の委託の事実を終局的に確定するものではなく、利害関係人は、右審判の確定後も、訴訟上右委託の事実を争うことを妨げないものと解するのを相当とする。
事件番号: 平成12(行ツ)106 / 裁判年月日: 平成13年11月16日 / 結論: 棄却
財産及び請求権に関する問題の解決並びに経済協力に関する日本国と大韓民国との間の協定(昭和40年条約第27号)を受けて,旧日本軍の軍人であったが日本国との平和条約により日本国籍を喪失した大韓民国に在住する韓国人について恩給法9条1項3号を存置することとし,その後も存置していたことは,憲法14条1項に違反するということはで…
事件番号: 昭和30(オ)518 / 裁判年月日: 昭和33年2月28日 / 結論: 棄却
一 裁判官が、前審において口頭弁論に列席し、当事者の陳述・証拠の申出・証人の供述を聴き、証拠決定をし、その他訴訟指揮に関する決定に関与したというだけでは、民事訴訟法第三五条第六号にいう裁判官が前審の裁判に関与した場合に当らない。 二 遡及買収基準日当時における住所の所在の認定につき爾後の事実をしんしやくすることは違法で…