一 併合罪として起訴された事実中、甲事実につき第一審において、乙事実につき控訴審において、丙事実につき上告審において、順次無罪の判決があり、それぞれ当該審級で確定し、かつ、請求人に対する拘禁がすべて右全事実によるものと認められる場合の刑事補償請求の期間は、右全事実の関係で、上告審判決が確定した日から起算すべきである。 二 併合罪として起訴された事実中、甲事実につき第一審において、乙事実につき控訴審において、丙事実につき上告審において、順次無罪の判決があり、それぞれ当該審級で確定し、かつ、請求人に対する拘禁がすべて右全事実によるものと認められる場合の刑事補償の管轄裁判所は、右全事実の関係で、上告裁判所と解すべきである。
一 併合罪の各一部につき第一審、控訴審及び上告審において順次無罪の判決があつた場合の刑事補償請求の期間 二 併合罪の各一部につき第一審、控訴審及び上告審において順次無罪の判決があつた場合の刑事補償の管轄裁判所
刑事補償法1条1項,刑事補償法3条2号,刑事補償法6条,刑事補償法7条
判旨
併合罪として起訴された事実の一部ずつにつき各審級で順次無罪判決が確定した場合、刑事補償の請求期間は最後に無罪を言い渡した判決の確定日から起算し、管轄は当該最後の裁判所となる。
問題の所在(論点)
併合罪の一部ずつにつき異なる審級で順次無罪が確定した場合において、刑事補償法7条の請求期間の起算点および同法6条の管轄裁判所をいかに解すべきか。各審級での確定ごとに個別請求すべきか(部分請求説)、あるいは最後に一括して請求すべきか(一括請求説)が問題となる。
規範
刑事補償法7条所定の請求期間の起算点および同法6条所定の管轄裁判所について、併合罪の一部につき各審級(第一審、控訴審、上告審)で順次無罪が確定した事案では、最後に無罪を言い渡した判決が確定した日から起算すべきであり、管轄は当該最後の裁判所(上告裁判所等)に属する。
重要事実
請求人は、複数の賍物故買事実(併合罪)で起訴された。第一審で一部事実が犯罪の証明なしとして無罪となり確定したが、他の事実は有罪とされた。控訴審でも一部事実につき無罪が確定し、残る有罪部分について上告したところ、上告審において全ての事実につき無罪判決が言い渡され確定した。請求人は一連の事件につき合計108日間の未決拘禁を受けていたため、上告裁判所に対し刑事補償を請求した。
あてはめ
未決勾留日数は、有罪部分の本刑に算入された場合には刑事補償の対象とならない。本件のように一部に有罪部分が残る段階では、将来的にその拘禁が本刑に通算される可能性があるため、補償対象となる日数を確定できない。また、刑事補償法3条2号による裁量判断(一部または全部を補償しない判断)も、全事実の成否が確定しない段階では不可能または不相当である。したがって、被告人単位で一括して審理される実態に照らし、全事実が確定するまで請求は待機されるべきといえる。
結論
請求期間は最後に無罪を言い渡した上告審判決が確定した日から起算し、管轄裁判所は上告裁判所である当裁判所となる。本件請求は適法であり、108日間の拘禁につき補償を認める。
実務上の射程
併合罪の一部無罪確定時における実務上の指針となる。被告人単位の勾留が行われる実務上、拘禁の目的を個別の公訴事実に分割することは困難であるため、最終的な全事件の確定を待って一括請求すべきとする「一括請求説」を確立した点に意義がある。
事件番号: 昭和32(も)1 / 裁判年月日: 昭和33年7月23日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】無罪の裁判が確定した者は、刑事補償法に基づき、身柄拘束を受けた日数に応じた補償を国に請求できる。本件では、詐欺罪で起訴され後に無罪が確定した請求人に対し、未決抑留日数10日分について1日400円の割合による補償金の交付が認められた。 第1 事案の概要:請求人は、詐欺罪の嫌疑により昭和26年3月21…