昭和三六年広島県条例第一三号集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例四条にいう「屋外の公共の場所」とは、そこにおいて集団示威運動等が行なわれると、公共の安全と秩序に対し危険が及ぶおそれのあるような、道路、公園、広場にも比すべき場所、すなわち、現実に一般に開放され、不特定多数の人が自由に出入し、利用できる場所を指すものと解すべきであつて、一般公衆の使用に供することを、本来のもしくは直接の目的として設けられた場所であることを要しないし、また、その場所が、官公庁の用に供され、官公庁の庁舎および構内管理権の及ぶ公用の場所であることも、同条にいう「公共の場所」であるとすることの妨げとなるものではない。
昭和三六年広島県条例第一三号集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例四条にいう「屋外の公共の場所」の意義
集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例(昭和36年広島県条例13号)1条,集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例(昭和36年広島県条例13号)2条,集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例(昭和36年広島県条例13号)4条,集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例(昭和36年広島県条例13号)14条1号
判旨
集団示威運動等の規制対象となる「屋外の公共の場所」とは、道路等の公共用物に限らず、現実に一般に開放され不特定多数の人が自由に出入・利用できる場所を指す。したがって、官公庁の庁舎構内であっても、実態として一般公衆の利用に供されていればこれに該当し、公安委員会の許可を要する。
問題の所在(論点)
集団示威運動等を規制する条例(広島県条例13号)4条に規定される「屋外の公共の場所」の意義、および官公庁の庁舎構内がこれに該当するか。
規範
条例にいう「屋外の公共の場所」とは、そこにおいて集団示威運動等が行われると公共の安全と秩序に対し危険が及ぶおそれのある、道路、公園、広場に比すべき場所をいう。具体的には、現実に一般に開放され、不特定多数の人が自由に出入し利用できる場所を指し、本来の設置目的が一般公衆の利用(公共用)であるか、官公庁の用(公用)であるかは問わない。
事件番号: 昭和48(あ)1930 / 裁判年月日: 昭和50年12月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】地方自治体の条例が定める集団示威運動の許可制は、不許可事由が厳格に制限されている限り実質的に届出制と異ならず、無許可での開催はそれ自体で実質的違法性を有するため、これに対する刑罰規定は憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、広島県条例(広島県集団示威運動、集団行進及び集会に関する条例…
重要事実
被告人らは、広島県公安委員会の許可を受けることなく、広島県庁の正面玄関前構内において集団示威運動を行った。当該構内は、石垣や生垣で道路と区画され、庁舎管理権の及ぶ公用の場所であったが、正面出入口は幅約29メートルと広く、門柱はあるものの門扉や守衛所による規制の有無は不明であった。原審は、当該場所が「公用の場所」であって一般公衆の通行は黙認に過ぎないとして、条例の「公共の場所」に当たらないと判断した。
あてはめ
条例の目的は公共の安全と秩序の維持にある。庁舎構内であっても、現実に不特定多数の自由な出入・利用を許す状況があれば、そこでのデモは公共の安全を脅かす蓋然性がある。本件構内は、庁舎管理権下にあるが、広い出入り口を有しており、一般人の出入を規制する設備の有無や現実の利用状況を精査しなければ、直ちに「不特定多数が自由に出入できる場所」ではないとは断定できない。したがって、公用の場所であることを理由に直ちに「公共の場所」性を否定した原判決は、解釈および事実認定において不十分である。
結論
官公庁の庁舎構内であっても、現実に不特定多数の人が自由に出入・利用できる状況にある限り、条例上の「屋外の公共の場所」に該当する。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
表現の自由の規制対象となる場所的範囲を判断する際の基礎となる判例である。道路・公園等の公共用物だけでなく、公用物であっても実態として「不特定多数が自由に出入できる」のであれば、規制の必要性と正当性が認められる点に射程がある。答案では、場所の物理的状況(門扉・柵)と、現実の利用実態(管理権の行使状況)を慎重に検討してあてはめる必要がある。
事件番号: 昭和28(あ)4841 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 棄却
昭和二五年広島市条例第三二号集団行進及び集団示威運動に関する条例は、憲法第二一条、第一一条、第一三条に違反しない。
事件番号: 昭和40(あ)1050 / 裁判年月日: 昭和41年3月3日 / 結論: 棄却
一 昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例第五条は、憲法第三一条に違反しない。 二 右条例第一条の集団行動の許可管掌機関が「公安委員会」から「東京都公安委員会」と改正されても、同条の規定に違反して行われた集団行動の指導者または煽動者を処罰する同条例第五条の刑の廃止があつたものとは認められ…
事件番号: 昭和27(あ)2055 / 裁判年月日: 昭和30年3月30日 / 結論: 棄却
昭和二四年埼玉県条例第四三号第一条、第二条、第五条は憲法第一二条、第二一条、第二八条等に違反するものではない。