昭和二四年埼玉県条例第四三号第一条、第二条、第五条は憲法第一二条、第二一条、第二八条等に違反するものではない。
昭和二四年埼玉県条例第四三号(集団行進及び集団示威運動に関する条例)の合憲性
憲法12条,憲法21条,憲法28条,昭和24年埼玉県条例43号(集団行進及び集団示威運動に関する条例)
判旨
集団示威運動等の届出制を定めた条例は、公共の福祉の保持を目的とし、合理的かつ明確な基準の下で事前に一定の事項の届出を義務付けるものである限り、表現の自由を不当に制限するものではなく憲法21条に違反しない。
問題の所在(論点)
集団行進および集団示威運動について、事前に一定事項の届出を義務付け、違反に罰則を科す条例の規定(届出制)は、憲法21条の表現の自由(集会の自由)を侵害し違憲か。
規範
集団行進や集団示威運動の自由は憲法21条により保障されるが、公共の秩序を保持し、または公共の福祉が著しく侵されることを防止するために、合理的かつ明確な基準の下、特定の場所、日時、方法につき事前に届出をなさしめることは許容される。一般的な許可制による事前の抑制とは異なり、届出制は憲法に違反しない。
重要事実
被告人らは、埼玉県条例43号「集団行進及び集団示威運動に関する条例」に基づき、あらかじめ届け出た行進の時刻を経過して行進を継続した。この行為が、同条例2条の届出事項に違反するものとして起訴された。被告人らは、当該条例の規定が表現の自由を保障する憲法21条等に違反し無効であると主張して上告した。
事件番号: 昭和40(あ)1050 / 裁判年月日: 昭和41年3月3日 / 結論: 棄却
一 昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例第五条は、憲法第三一条に違反しない。 二 右条例第一条の集団行動の許可管掌機関が「公安委員会」から「東京都公安委員会」と改正されても、同条の規定に違反して行われた集団行動の指導者または煽動者を処罰する同条例第五条の刑の廃止があつたものとは認められ…
あてはめ
本件条例は、道路等の公共の場所で行われる集団行進等について届出制を採用している。これは一般的な許可制とは異なり、公共の秩序保持を目的として、特定の場所・日時・方法を明確な基準で事前に把握するためのものである。被告人らは届出時刻を超過して行進を継続しており、これは合理的範囲内での規制事項(届出事項)に違反したといえる。したがって、本件条例の適用は適憲である。
結論
本件条例の届出制および罰則規定は憲法21条等に違反せず合憲である。被告人らを指導者として処断した原判決は正当であり、上告は棄却される。
実務上の射程
公安条例における「届出制」の合憲性を肯定したリーディングケース。許可制との対比で論じることが重要であり、実務上、明確な基準に基づく届出制は公共の福祉による合理的な制約として扱われる。また、届出事項に反した実力行使に対する処罰の可否を検討する際の基礎となる。
事件番号: 昭和35(あ)112 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 破棄差戻
昭和二五年東京都条例第四四号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は憲法第二一条に違反しない。
事件番号: 昭和48(あ)2464 / 裁判年月日: 昭和50年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】東京都公安条例の許可条件(だ行進の禁止)違反を処罰する規定は、公安委員会に条件の範囲を具体的に規定しているため、罰則の再委任には当たらず、表現の自由の不当な制限にもならない。 第1 事案の概要:被告人らは、東京都公安条例に基づき、公安委員会から「だ行進(蛇行進)」を禁止する等の条件付許可を得て集団…
事件番号: 昭和48(あ)2109 / 裁判年月日: 昭和50年11月6日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】集団行動に対し公安委員会の許可を要する条例であっても、不許可事由が「公共の安寧を保持する上に直接危険を及ぼすと明らかに認められる場合」に厳格に制限されており、原則として許可が義務付けられているのであれば、憲法21条に違反しない。 第1 事案の概要:東京都条例第44号(東京都公安条例)は、集会、集団…