外国為替管理令第一九条第一項もしくは第二項によつて、支払手段等を輸出又は輸入することのできる者が、その輸出入にあたつて、同令第二〇条に定める税関の確認を受けなかつたことは、外国為替及び外国貿易管理法第四五条、第七〇条第一八号違反の罪に該当しない。
外国為替管理令第一九条第一項第二項に該当する者が支払手段等の輸出入にあたつて同令第二〇条の税関の確認を受けないことと外国為替及び外国貿易管理法第四五条第七〇条第一八号違反罪の成否。
外国為替及び外国貿易管理法45条,外国為替及び外国貿易管理法70条18号,外国為替管理令19条1項,外国為替管理令19条2項,外国為替管理令20条
判旨
外国為替及び外国貿易管理法(外為法)45条の禁止の除外例である「政令で定める場合」に該当するならば、手続上の規定である税関の確認を欠いたとしても同条違反の罪は成立しない。
問題の所在(論点)
外為令20条の「税関の確認」を受けることが、外為法45条にいう禁止の除外例(政令で定める場合)としての「要件」に含まれるか。すなわち、確認手続の不履践のみをもって、同法70条の重い罰則を適用できるかが問題となる。
規範
外為法45条(現19条等)の禁止の除外例(政令で定める場合)に該当するか否かは、輸出入の「実質的要件」を充足しているかにより判断すべきである。単なる手続規定である税関の確認(外為令20条)の履践は、同法45条の「政令で定める場合」の実質的要件には含まれない。したがって、実質的除外事由を具備している以上、手続違反があっても同法70条(現71条等)の処罰規定は適用されない。
重要事実
被告人は、私用の身辺装飾品である金指輪等を輸入した。これは外国為替管理令(外為令)19条2項2号の輸出入禁止の除外例に該当するものであったが、同令20条に定められた税関の確認手続を履践していなかった。原審は、この手続欠缺を理由に、被告人を外為法45条違反(無許可輸出入罪)として有罪判決を下した。
事件番号: 昭和41(あ)709 / 裁判年月日: 昭和41年12月27日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認の主張は刑訴法405条の上告理由に当たらない。また、記録を精査しても、職権による破棄を定めた刑訴法411条を適用すべき事由は認められない。 第1 事案の概要:被告人本人および弁護人が、原判決に対して事実誤認を理由として上告を申し立てた事案である。 第2 問題の所在(論点):事実誤認の主張が…
あてはめ
外為令20条の文言は一定の手続履践を命じたものに留まり、輸出入禁止を解除する実質的要件を定めたものではない。仮に手続不履践を禁止違反と解すると、大臣の許可を得た者でも手続を忘れただけで実質犯と同様の重罰(3年以下の懲役等)を科されることになり、他の軽微な手続違反の罰則との均衡を著しく失する。本件の金指輪等は私用装飾品であり、実質的な除外例に該当するため、手続不履践のみで法45条違反を構成するとした原判決は誤りである。
結論
被告人の行為は外為法45条・70条の違反には当たらない。原判決および第一審判決を破棄し、本件を地方裁判所に差し戻す。
実務上の射程
実質的犯法性と形式的手続違反を峻別する視点を示す。行政上の義務違反が直ちに刑罰法規の「構成要件」に該当するかを検討する際、規定の趣旨や罰則の均衡から限定解釈を行う手法として参考になる。
事件番号: 昭和37(あ)624 / 裁判年月日: 昭和40年1月20日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法第二七条第一項第三号は憲法第二九条に違反しない。
事件番号: 昭和39(あ)1295 / 裁判年月日: 昭和40年11月26日 / 結論: 棄却
外国為替及び外国貿易管理法二七条第一項第三号違反の罪と同法第四八条第一項に基づく命令に違反する罪とは、牽連犯ではない。
事件番号: 昭和45(あ)1296 / 裁判年月日: 昭和45年11月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】外国為替及び外国貿易管理法による支払等の制限およびこれに違反した者への刑罰規定は、公共の福祉のために必要な制限として、憲法22条1項および29条1項に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が、当時の外国為替及び外国貿易管理法(外為法)27条1項3号が禁ずる無許可の支払等を行い、同法70条7号に基づ…
事件番号: 昭和44(あ)2749 / 裁判年月日: 昭和45年12月24日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】行政行為に重大かつ明白な瑕疵がない限り、虚偽の手段によって得られた許可であっても有効であり、その許可に基づく行為に無許可罪は成立しない。 第1 事案の概要:被告人は、実際には標準外決済方法による輸出であるにもかかわらず、他人名義の輸出申告書等を買い受け、標準決済方法による輸出であると装って税関長に…