一 昭和二九年京都市条例第一〇号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例は、憲法二一条に違反しない。 二 何人も、その承諾なしに、みだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由を有し、警察官が、正当な理由もないのに、個人の容ぼう等を撮影することは、憲法一三条の趣旨に反し許されない。 三 警察官による個人の容ぼう等の写真撮影は、現に犯罪が行なわれもしくは行なわれたのち間がないと認められる場合であつて、証拠保全の必要性および緊急性があり、その撮影が一般的に許容される限度をこえない相当な方法をもつて行なわれるときは、撮影される本人の同意がなく、また裁判官の令状がなくても、憲法一三条、三五条に違反しない。
一 昭和二九年京都市条例第一〇号集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例の合憲性 二 みだりに容ぼう等を撮影されない自由と憲法一三条 三 犯罪捜査のため容ぼう等の写真撮影が許容される限度と憲法一三条、三五条
憲法21条,憲法13条,憲法35条,集会、集団行進及び集団示威運動に関する条例(昭和29年京都市条例10号)2条,6条,刑訴法218条2項,刑訴法220条,警察法2条1項
判旨
憲法13条は、個人の私生活上の自由として何人も承諾なくみだりに容貌・姿態を撮影されない自由を保障するが、犯罪捜査上の必要性、緊急性、相当性が認められる場合には、令状なく個人の容貌等を撮影することも許容される。
問題の所在(論点)
警察官が令状なく個人の容貌等を撮影する行為が、憲法13条(プライバシー・肖像権)および憲法35条(令状主義)に違反しないか。
規範
憲法13条により、何人も承諾なしにみだりにその容貌等を撮影されない自由を有する。もっとも、この自由は無制限ではなく、①現に犯罪が行われもしくは行われた後間がないと認められ、②証拠保全の必要性および緊急性があり、③その撮影が一般的に許容される限度を超えない相当な方法をもって行われるときは、裁判官の令状がなくとも撮影は許容される。
重要事実
学生集団によるデモ行進において、被告人が列外最先頭に立ち、許可条件(四列縦隊、車道東側端の進行)に外形的に違反する状態で道路中央付近を行進していた。これを現認した巡査が、違法状況の視察・採証および違反者確認のため、歩道上から行進の先頭部分を写真撮影した。撮影方法は行進者に特別な受忍義務を負わせるものではなかった。
あてはめ
まず、被告人らは許可条件に違反する走行をしており、「現に犯罪が行われている」状況にあった(①充足)。また、多数の者が参加し刻々と状況が変化する集団行動の性質上、「証拠保全の必要性および緊急性」も認められる(②充足)。さらに、歩道上から公道上の行進状況を撮影する手法は、特別な受忍を強いるものではなく「相当な方法」といえる(③充足)。したがって、本件撮影は適法な職務執行である。
結論
警察官による本件写真撮影は憲法13条、35条に違反せず、適法である。
実務上の射程
強制処分(刑訴法197条1項但書)該当性の判断基準としても引用されるが、本判決自体は「正当な理由」の有無による憲法判断の形式を採っている。防犯カメラやビデオ撮影の適法性、さらには公道上のプライバシーの期待についても論じる際の出発点となる判例である。
事件番号: 昭和31(あ)2475 / 裁判年月日: 昭和32年3月28日 / 結論: 棄却
一 単に法律見解を示しただけで構成要件に該当する罪となるべき事実を認定判示していない場合は、犯罪構成要件に該当する事実は証拠によつて認定することを要するとした高等裁判所の判例および不可分の供述の一部を分離してその供述全体の趣旨と異る意味において事実認定の資料に供することは違法であるとした当裁判所の判例と相反する判断をし…