婦女を強いて姦淫しようと企て、自己の運転する第二種原動機付自転車荷台に乗車せしめ、一〇〇〇メートル余り疾走した場合は、不法監禁罪が成立する。
不法監禁罪が成立する事例。
刑法220条1項
判旨
婦女を姦淫する目的で、自己の運転する原動機付自転車の荷台に乗車させたまま、相当の距離を疾走する行為は、不法監禁罪を構成する。
問題の所在(論点)
走行中の原動機付自転車の荷台に乗車させて移動し続ける行為が、刑法220条の「監禁」に該当するか。
規範
不法監禁罪(刑法220条)における「監禁」とは、人が一定の区域から脱出することを不可能又は著しく困難にすることにより、身体の自由を拘束することをいう。脱出の困難性は、物理的な障壁のみならず、周囲の状況や心理的・場所的条件、さらには移動手段の態様を含めた総合的な判断により決せられる。
重要事実
被告人は、婦女を姦淫しようと企図し、自己が運転する第二種原動機付自転車の荷台に当該婦女を乗車させた。その上で、被告人は当該自転車を1,000メートル余りにわたって道路を疾走させた。
あてはめ
事件番号: 昭和41(あ)2135 / 裁判年月日: 昭和42年2月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】自動車を用いて監禁し、その車内等で暴行・脅迫を加えて強姦・致傷に至った場合、監禁行為と強姦致傷行為はそれぞれ独立した行為として評価され、監禁罪と強姦致傷罪(当時)の併合罪となる。 第1 事案の概要:被告人は、被害者を自動車に押し込み、不法に監禁した。その後、車内等において強姦の目的で別途暴行および…
被告人は、時速を有する原動機付自転車を運転し、1,000メートル以上の長距離を疾走させている。このような走行中の車両からの飛び降りや脱出は、生命・身体に重大な危険を及ぼす。したがって、被害者が自力で脱出することが著しく困難な状況を作り出しており、身体の自由を拘束したものと認められる。また、その態様は婦女を姦淫する企図に基づくものであり、不法な拘束にあたる。
結論
原動機付自転車を疾走させた行為は不法監禁罪を構成するため、本件上告を棄却すべきである。
実務上の射程
走行中の車両という動的な空間における不法監禁罪の成否を示した重要判例である。必ずしも密閉された部屋や物理的な障壁がなくとも、脱出に伴う危険性や移動速度によって心理的・物理的に脱出が困難であれば監禁にあたるとする。答案上は、車両の速度、走行距離、脱出の危険性等の事実を摘示して、身体の自由が事実上拘束されていることを論証する際に活用できる。
事件番号: 昭和29(あ)208 / 裁判年月日: 昭和30年11月29日 / 結論: 棄却
刑法二二〇一条一項にいう「監禁」とは、人を一定の場所から脱出できないようにして、間接に身体の事由を拘束することである。
事件番号: 昭和27(あ)5991 / 裁判年月日: 昭和29年3月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】権利行使の目的で恐喝手段を用いた場合でも、それが正当な権利行使の範囲を逸脱し、権利行使に仮託して財物を請求したと認められるときは、恐喝罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人らは、貨物自動車の引渡を請求するにあたり、恐喝的な手段を用いた。被告人らは正当な権利行使であることを主張したが、原審はこれが…