法人が、その事業につき、建設用鋲打銃を使用して火薬類である空包を消費するにあたり、危険予防の方法として特定の者を取扱者と定め、その他の者には取扱わせないことを条件として旧火薬類取締法(昭和三五年法律第一四〇号による改正前のもの)第二五条第一項の消費許可を受けた場合において、右取扱者以外の従業者が取扱者の不在中独断で、右法人の業務に関し、該鋲打銃を使用して空包を消費したときは、その行為者は同法第四八条第一項、第二五条第一項、第六〇条第六号、第六二条により、消費許可の条件違反の罪責を負うものと解するを相当とする。
法人が条件附で火薬類消費の許可を受けた場合において条件で指定された取扱者以外の従業者が旧火薬類取締法(昭和三五年法律第一四〇号による改正前のもの)第四八条第一項、第二五条第一項、第六〇条第六号による消費許可の条件違反の罪責を負うものとされた事例。
旧火薬類取締法(昭和35年法律140号による改正前のもの)25条1項,旧火薬類取締法(昭和35年法律140号による改正前のもの)48条1項,旧火薬類取締法(昭和35年法律140号による改正前のもの)59条5号,旧火薬類取締法(昭和35年法律140号による改正前のもの)60条6号,旧火薬類取締法(昭和35年法律140号による改正前のもの)62条,同法施行規則(同年通商産業省令124号による改正前のもの)48条1項,同法施行規則(同年通商産業省令124号による改正前のもの)48条3項
判旨
法人が火薬類消費許可を得る際に指定した取扱者以外の従業員が消費を行った場合、許可の核心的変更(無許可消費)ではなく、許可に付された条件への違反と解するのが相当である。この場合、両罰規定を根拠に行為者である従業員も条件違反の罪で処罰される。
問題の所在(論点)
法人が受けた火薬類消費許可において、指定された取扱者以外の従業員が消費行為を行った場合、無許可消費罪(法59条5号)と条件違反の罪(法60条6号)のいずれが成立するか。また、行為者である従業員を条件違反の罪で処罰できるか。
規範
火薬類消費許可申請書の記載事項のうち、目的・場所・日時・危険予防の方法といった『許可の核心をなす事項』に変更があった場合は、従前の許可の効力は及ばず無許可消費罪(法59条5号)が成立する。しかし、許可時に定められた特定の取扱者以外の者が独断で行った消費行為は、直ちに「危険予防の方法」の変更には当たらず、許可条件違反の罪(法60条6号)を構成するにとどまる。また、両罰規定(法62条)が存在する場合、法人等の業務主体だけでなく、直接の行為者である従業員に対しても当該罰則を適用し得る。
事件番号: 昭和26(あ)4470 / 裁判年月日: 昭和29年1月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】踏切警手としての地位のみを理由に処罰されることはなく、具体的な過失等の犯罪構成要件に該当する行為がある場合に限り処罰されることは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は踏切警手として勤務していた者であり、何らかの事故に関連して刑事責任を問われた。被告人側は、自分が踏切警手であったという理由の…
重要事実
電気工事会社Aに雇用されていた被告人は、A社が知事から建設用鋲打銃の空包消費許可を受ける際、「危険予防の方法として特定の取扱者CおよびDのみに使用させ、その他の者には絶対に使用させない」という条件が付されていた。被告人は、CおよびDの不在中に独断で当該空包を業務として使用した。原審は、取扱者の指定は「危険予防の方法」という許可の核心事項であるから、指定外の者が使用した以上は無許可消費罪が成立すると判断した。
あてはめ
本件において、被告人は会社が許可申請時に定めた取扱者C・Dの不在中に独断で消費を行っているが、これは許可に付された遵守すべき条件に違反したにすぎず、許可申請書記載の「危険予防の方法」そのものが変更されたとはいえない。したがって、許可の効力が失われる「核心的事項の変更」には該当せず、無許可消費罪を適用するのは法解釈を誤っている。もっとも、法62条の両罰規定は、法人の業務に関する従業員の違反行為について行為者をも罰する旨を規定しているため、被告人に対して条件違反の罪を適用することは可能である。
結論
被告人の所為は無許可消費罪ではなく、条件違反の罪を構成する。原判決を破棄し、差し戻す。
実務上の射程
行政上の許可制度における「許可の同一性」と「条件違反」の境界を示す。法人の許可に基づく行為に従業員が関与した場合、両罰規定を介して従業員個人にも『許可を受けた者』を前提とする罰則(条件違反等)を適用できるという構成は、他法令の両罰規定の解釈にも射程を有する。
事件番号: 昭和58(あ)829 / 裁判年月日: 昭和60年10月21日 / 結論: 棄却
一 刑法一一七条の二にいう業務とは、職務として火気の安全に配慮すべき社会生活上の地位をいう。 二 刑法二一一条にいう業務には、人の生命・身体の危険を防止することを義務内容とする業務も含まれる。 三 ウレタンフオームの加工販売業を営む会社の工場部門の責任者として、易燃物であるウレタンフオームを管理するうえで当然に伴う火災…
事件番号: 昭和26(れ)1749 / 裁判年月日: 昭和26年11月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】製造元不明のアルコールを飲用として販売する者は、製造業者に限らず、その有毒性を確認すべき注意義務を負い、これを怠り死傷致死の結果を招いた場合には業務上過失致死傷罪等の責任を免れない。 第1 事案の概要:被告人B、C、Dらは、アルコールの販売に従事していた。Bは当該アルコールが有毒で飲料に適さないこ…