少年保護事件において、少年の実母の内縁の夫は、少年法第三五条に定める再抗告権者にあたらない。
少年の実母の内縁の夫は少年法第三五条の再抗告権者にあたるか。
少年法35条,少年法32条
判旨
少年の実母と内縁関係にある者は、少年法35条に規定される「親権者」には該当せず、同条に基づく抗告権を有しない。
問題の所在(論点)
少年の実母と内縁関係にあり、実質的に父親としての役割を果たしている者が、少年法35条にいう「親権者」として抗告権を有する法定代理人に該当するか。
規範
少年法35条1項は、保護処分(24条1項)の決定に対し、本人、その法定代理人または付添人からの抗告権を認めている。ここにいう「親権者」等の法定代理人は、民法上の身分関係に基づく厳格な解釈を要し、実質的な監護関係があっても法律上の親権を有しない者は含まれない。
重要事実
抗告人Aは、少年Bおよび少年Cの親権者として、家庭裁判所の決定に対し抗告(および再抗告)を申し立てた。しかし、記録によれば、抗告人Aは少年らの実母Dと内縁の夫であるにすぎず、少年らと法律上の養親子関係にあることや、法律上の親権を取得している事実は認められなかった。
あてはめ
事件番号: 昭和43(し)5 / 裁判年月日: 昭和43年1月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条に基づく再抗告において、実質的に単なる法令違反を主張するものや、事案の異なる判例の引用による判例違反の主張は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:本件は、少年審判の決定に対し再抗告がなされた事案である。再抗告人は、第一点として憲法違反を主張し、第二点として判例違反を主張…
少年法35条は抗告権者を限定的に列挙しており、手続の明確性の観点から「親権者」は法律上の親権を有する者に限られる。本件において抗告人Aは、少年の実母Dと内縁関係にあるにすぎず、少年らの法律上の親権者ではない。したがって、実質的に少年の保護者としての地位にあったとしても、同条が定める適法な抗告権者とは認められない。
結論
少年の実母の内縁の夫は、少年法35条の抗告権者に当たらず、その抗告は不適法である。
実務上の射程
少年法上の「法定代理人」の範囲を民法上の規定に準じて厳格に画定した。実務上、内縁の父や事実上の養親に抗告権を認めたい場合は、付添人(弁護士)を選任させるか、少年の本人名義で抗告を行う必要がある。
事件番号: 昭和37(し)14 / 裁判年月日: 昭和37年6月7日 / 結論: 棄却
本件再抗告申立書は、少年の法定代理人上野ふみ並びに附添人と称するA及び同B三名連署にかかるものであるが、記録によれば、右Aは少年の伯父であり、Bは少年の中学校教師であることが認められるにすぎず、附添人となるについて許可を受けたものではないこと明らかであるから、少年法三五条に定める抗告権者に当らない、それ故右両名の本件再…
事件番号: 昭和40(し)48 / 裁判年月日: 昭和40年7月3日 / 結論: 棄却
保護処分決定に対する抗告棄却決定に対し、再抗告をすることができる者は、少年、その法定代理人または附添人に限られているのであつて、これに該当しない少年の保護者である祖父からの本件再抗告申立は、少年法第三五条第一項の規定に違反するものである。
事件番号: 昭和28(し)82 / 裁判年月日: 昭和28年11月17日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年法35条1項に基づく再抗告は、同項に規定された事由がある場合に限り許容される。憲法違反を主張していても、実質的に原決定の不当(訴訟法違反)をいうにすぎない場合は、適法な再抗告理由には当たらない。 第1 事案の概要:申立人Aは、家庭裁判所の決定に対する抗告審の判断を不服として再抗告を申し立てた。…
事件番号: 昭和55(し)64 / 裁判年月日: 昭和55年6月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年保護処分の決定に対する再審申立てや保護処分取消しの申立権を認めるか否かは、専ら立法政策の問題であり、憲法違反の問題ではない。 第1 事案の概要:少年保護処分の決定を受けた者(抗告人)が、当該決定に対して再審申立てを許さないこと、および保護処分取消しの申立権を認めないことは憲法に違反する旨を主張…