公職選挙法第二五二条にいう選挙権、被選挙権の停止、不停止は刑法第九条、第一〇条にいわゆる刑ではないが刑訴法第三八一条の「刑の量定」には含まれる。
選挙権、被選挙権の停止、不停止は刑訴法第三八一条の「刑の量定」に含まれるか
公職選挙法252条,刑法第9条,刑法第10条,刑訴法381条
判旨
公職選挙法252条に基づく選挙権・被選権の停止および不停止の措置は、刑法上の「刑」には当たらないが、刑事訴訟法381条にいう「刑の量定」に含まれる。
問題の所在(論点)
公職選挙法252条に基づく選挙権・被選権の停止(または不停止の宥恕)が、刑事訴訟法381条にいう「刑の量定」に該当し、量刑不当を理由とする控訴・上告の対象となるか。
規範
公職選挙法252条による選挙権・被選権の停止または不停止の判断は、刑法9条および10条に規定される主刑や付加刑(刑)そのものではない。しかし、被告人に対する不利益な処置としての性質を有することから、控訴理由としての「刑の量定」(刑事訴訟法381条)に包含されるものと解すべきである。
重要事実
被告人ら(A〜I)は公職選挙法違反の罪に問われ、一審および二審で有罪判決を受けた。弁護人は、公職選挙法252条に基づく選挙権・被選権の停止に関する判断に不服があるとして、これを量刑不当(刑の量定)の観点から争うべく上告を申し立てた。本判決自体は上告棄却の決定であるが、その理由の中で過去の判例(昭和29年6月2日決定等)を引用し、当該停止措置の法的性格について判断を示した。
あてはめ
本件における選挙権等の権利停止は、刑法上の刑罰体系(死刑、懲役、禁錮、罰金等)には含まれていないため、形式的には「刑」ではない。しかし、実質的には犯罪行為に付随して課される公法上の制限であり、被告人の法的地位に重大な影響を及ぼすものである。したがって、裁判所がなすこの措置の選択や宥恕の適否は、広義の刑の量定に関する判断に含まれると解するのが相当である。
結論
公職選挙法上の選挙権・被選権の停止措置は、刑法上の「刑」ではないが、刑事訴訟法381条の「刑の量定」には含まれる。
実務上の射程
司法試験において、公職選挙法違反事案の量刑不当(刑訴法381条)を論じる際、権利停止の宥恕(252条4項等)が争点となった場合の論拠として用いる。刑事訴訟法上の「刑の量定」が、刑法上の刑罰概念よりも広く、実質的な不利益処置を含むことを示す文脈で有効である。
事件番号: 昭和29(あ)226 / 裁判年月日: 昭和29年10月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法に基づく選挙権及び被選挙権の停止は、刑法上の刑罰そのものではないが、刑事訴訟法381条にいう量刑の範囲に含まれる。したがって、裁判所が同法252条3項による不停止の宣言をしないことは憲法に違反しない。 第1 事案の概要:被告人が公職選挙法違反の罪に問われた事案において、原審は被告人に対し…