本件のような本人不知の間に録音された証拠物たる録音テープの証拠調は、公判廷でこれを展示し、かつ、録音再生器により再生する方法によるべきである。
証拠物たる録音テープの証拠調の方法。
刑訴法306条,刑訴法305条
判旨
本人が知らない間になされた録音であっても、それが直ちに表現の自由を侵害するものではなく、適法な証拠として採用することができる。
問題の所在(論点)
本人の同意を得ず、かつ本人が知らない間に行われた録音テープの証拠能力が認められるか。また、そのような録音の証拠採用が表現の自由の侵害(憲法違反)に当たるか。
規範
被告人あるいは関係者の不知の間に行われた録音であっても、それが表現の自由等の憲法上の権利を侵害するものでない限り、刑事訴訟法上の証拠能力を有する。裁判所がその用法に従って証拠調べを適正に行うならば、その録音の内容を犯罪事実の認定に用いることは適法である。
重要事実
被告人が関与したとされる犯罪事実について、本人に知らせることなくその発言内容が録音された。第一審裁判所はこの録音テープを証拠として採用し、適法な証拠調べの手続きを経て有罪判決の根拠の一つとした。これに対し、弁護側は録音が本人の不知の間になされたものであることを理由に、憲法違反および訴訟法違反(証拠能力の欠如)を主張して上告した。
あてはめ
本件における録音は、本人が知らない間になされたものであるが、それ自体によって直ちに本人の表現の自由が不当に侵害されたとはいえない。また、記録によれば、第一審裁判所は証拠の用法に従って適正に証拠調べを行っており、証拠採用の手続きに違法は見られない。さらに、本件では当該録音の内容を除外したとしても、他の証拠によって犯罪事実を十分に認定することが可能であり、判決に影響を及ぼすべき法令違反も存在しない。
結論
本人の不知の間になされた録音であっても適法な証拠となり得る。本件上告は理由がなく、棄却されるべきである。
実務上の射程
秘密録音の証拠能力を肯定した初期の重要判例である。実務上は、録音の態様が著しく反社会的な手段によるものでない限り、証拠能力は認められる傾向にある。答案上では、違法収集証拠排除法則の文脈において、プライバシーや人格権侵害の程度を検討する際の比較対象として位置づけられる。
事件番号: 昭和24(れ)2866 / 裁判年月日: 昭和25年3月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公務執行妨害罪の成立には、行為者が、相手方が公務員であること及びその者が公務を執行中であることを認識していることが必要である。本判決は、証拠に基づきこれらの事実を察知していたと認められる場合には、同罪の主観的要件を充足すると判断した。 第1 事案の概要:被告人が犯行に及んだ際、相手方であるBは巡査…