物品税表示証紙は刑法第一五五条第三項の公文書にあたるものと解するのが相当である。
物品税表示証紙は公文書か
刑法155条3項,物品税法16条の2第4項,物品税法16条の2第5項,昭和26年5月25日大蔵省告示678号
判旨
物品税表示証紙は、物品税法等の規定に基づき、納税の事実を証明するために公務員が作成するものであるから、刑法155条3項にいう公文書にあたると解するのが相当である。
問題の所在(論点)
物品税法16条の2第4項、5項および昭和26年5月25日大蔵省告示678号に基づく「物品税表示証紙」が、刑法155条3項にいう公文書(公務員が職務上作成すべき図画)に該当するか。
規範
刑法155条3項にいう「公務所若しくは公務員が職務上作成すべき図画」とは、公務員がその職務権限に基づき、事実を証するために作成する文書ないし図画を指す。法令に基づき特定の事実を公証する目的で作成・貼付される証紙類も、これに含まれる。
重要事実
被告人両名らは、物品税の納税事実を証明するために用いられる「物品税表示証紙」を偽造した疑いで起訴された。弁護人は、量刑不当や事実誤認とともに、当該証紙が刑法上の公文書に該当するか否かについて争った。
あてはめ
物品税表示証紙は、物品税法および大蔵省告示という法的根拠に基づき、納税義務が履行された事実を公的に証明するために公務員が作成するものである。このような性質を有する証紙は、公的身分を有する者がその職務の一環として作成する図画といえる。したがって、その偽造は公文書偽造罪の対象となるべき性質を備えていると解される。
結論
物品税表示証紙は刑法155条3項の公文書に該当する。
実務上の射程
証紙や切手、印紙のように、一見すると「文書」としての形式が簡略なものであっても、法令の規定に基づき公務員が作成し、一定の事実を証する機能を有するものであれば、155条3項の公文書(図画)に該当し得ることを示す。答案上、公文書の意義を論じる際の具体例として活用できる。
事件番号: 昭和29(あ)4126 / 裁判年月日: 昭和32年6月8日 / 結論: 棄却
一 商品のラベルに押捺された物品税表示証の表示(検印)は、刑法第一六六条にいう公務所の記号にあたる。 二 右表示(検印)の偽造も模造もともに真正の検印を模擬するものであるが、その模擬の程度が通常人をして真正のものであるという印象を与える程度のものであるときは偽造であり、その程度に至らないときは模造であると解すべきである…
事件番号: 昭和30(あ)971 / 裁判年月日: 昭和33年4月10日 / 結論: 棄却
一 日本専売公社の製造にかかる製造たばこ「光」の外箱は、刑法第一五五条第一項にいう「公務所ノ作ル可キ図画」にあたる 二 たばこ専売法第六五条の二、第七一条第一号と刑法第一五五条第一項とは、両者の併存適用を妨げない
事件番号: 昭和59(あ)555 / 裁判年月日: 昭和61年6月27日 / 結論: 棄却
行使の目的をもつて、ほしいままに、営林署長の記名押印がある売買契約書の売買代金欄等の記載に改ざんを施すなどしたうえ、これを複写機械で複写する方法により、あたかも真正な右売買契約書を原形どおり正確に複写したかのような形式、外観を備えるコピーを作成した所為は、その改ざんが原本自体にされたのであれば未だ文書の変造の範ちゆうに…
事件番号: 昭和31(あ)17 / 裁判年月日: 昭和31年7月5日 / 結論: 棄却
A法務社岸和田支局またはB地方法務新聞宇治山田支局各名義の各船舶登記証書を作成した場合においても、A法務社岸和田支局なる印の「社」およびB地方法務新聞宇治山田支局之印なる印の「新聞」という各文字の処を殊更に不鮮明に押捺し、各その形式外観によつて、一般人をしてA法務局岸和田支局またはB地方法務局宇治山田支局が権限により作…