自転車競技法は賭博行為を規定したもので憲法第一三条に違反し同法第九八条により無効であることを理由とする主張は、適用法条(自転車競技法第二三条)についての具体的な論難ではなく、適法な上告理由にあたらない。
適用法条に対する具体的な論難でない上告理由の適否。
憲法13条,憲法31条,憲法98条,自転車競技法23条,刑訴法405条
判旨
上告理由としての違憲の主張が、原判決が是認した第一審判決の適用法条に対する具体的な論難を伴わない場合は、適法な上告理由には当たらない。また、単なる事実誤認や量刑不当の主張も、刑訴法405条の上告理由を構成しない。
問題の所在(論点)
具体的な法条適用への論難を欠く違憲の主張、ならびに事実誤認・量刑不当の主張が、刑訴法405条所定の適法な上告理由に該当するか。
規範
憲法違反を上告理由とする場合には、下級審判決における具体的な法の解釈・適用に関する論難が必要であり、抽象的な違憲の主張や具体的な論難を欠くものは適法な上告理由(刑訴法405条1号)とならない。また、事実誤認および量刑不当は、同条各号に掲げる法定の上告理由には当たらない。
重要事実
被告人Aおよびその他の被告人らが、第一審および控訴審の有罪判決を不服として最高裁判所に上告した。被告人Aの弁護人は憲法違反を主張したが、それは原判決が是認した第一審判決の適用法条についての具体的な論難を含むものではなかった。他の被告人の弁護人らも上告を申し立てたが、その内容は事実誤認および量刑不当を主張するものであった。
事件番号: 昭和49(あ)414 / 裁判年月日: 昭和49年4月16日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審において主張・判断を経ていない事項に関する憲法違反の主張、および量刑不当の主張は、刑事訴訟法405条所定の上告理由に当たらない。 第1 事案の概要:被告人側の弁護人が、原審(控訴審)では主張も判断もされていなかった事項を持ち出し、それが憲法14条(法の下の平等)に違反するものであると主張して上…
あてはめ
被告人Aの弁護人による違憲の主張は、第一審判決の法条適用に対する具体的な批判を欠いているため、実質的に適法な上告理由としての形式を備えていない。また、他の被告人らによる主張は、事案の評価を争う事実誤認や刑の重さを争う量刑不当にすぎず、刑訴法405条が限定的に列挙する上告理由(憲法違反、判例相反)のいずれにも該当しない。さらに、記録を精査しても、職権で原判決を破棄すべき顕著な正義に反する事由(同法411条)も認められない。
結論
本件各上告は、適法な上告理由に当たらないため、棄却される。
実務上の射程
刑事訴訟における上告審の構造(事後審・制限上告主義)を示す。答案上、上告受理の可否や上告理由の適格性が問題となる場面で、単なる抽象的な憲法論や事実関係の不服は門前払いの対象となることを論じる際に参照すべき基本的判断である。
事件番号: 昭和30(あ)1205 / 裁判年月日: 昭和30年7月13日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法第405条の定める上告理由として、単なる法令違反や事実誤認の主張は認められない。 第1 事案の概要:被告人側が原審の判決に対し、法令違反および事実誤認があるとして最高裁判所へ上告を申し立てた事案。原審の判断の当否が争点となった。 第2 問題の所在(論点):弁護人が主張する「法令違反」およ…