刑訴第一八一条は、憲法第三七条第二項に違反しない。
刑訴法第一八一条は、憲法第三七条第二項に違反するか。
刑訴法181条,憲法37条2項
判旨
憲法37条2項は、有罪判決を受けた被告人に対して証人喚問に要した費用の負担を命ずることを禁ずる趣旨ではなく、訴訟費用の負担は法律で適切に規定し得る事項である。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法181条に基づき、有罪判決を受けた被告人に対して証人の喚問に要した費用の負担を命ずることが、被告人の証人審問権および公費での証人喚問を保障した憲法37条2項に違反するか。
規範
憲法37条2項は、公費で証人を求める権利を被告人に保障しているが、これは裁判確定後に訴訟費用を何人に負担させるかという問題までを関知するものではない。したがって、被告人に訴訟費用の負担を命ずる旨を定めた刑事訴訟法181条は、同憲法条項に違反しない。
重要事実
被告人が刑事裁判において有罪の言い渡しを受けた際、原審が証人に支給した訴訟費用(喚問費用等)を被告人の負担とした。これに対し、被告人側は、被告人に証人喚問費用の負担を命ずることは憲法37条2項(公費による証人喚問の権利)に違反すると主張して上告した。
あてはめ
憲法37条2項の趣旨は、公判過程において被告人が不当に証拠調べの機会を奪われないことを保障する点にあり、裁判の結果として有罪が確定した後にその費用を清算する段階の問題とは区別される。本件において、原審が刑事訴訟法181条に従い、証人の喚問に要した費用を被告人の負担としたことは、法律に基づく適当な費用負担の規定の適用であり、憲法の保障する証人喚問の権利を実質的に侵害するものとはいえない。
結論
刑事訴訟法181条は憲法37条2項に違反せず、被告人に訴訟費用を負担させた原判決は正当である。
実務上の射程
訴訟費用負担の憲法適合性に関するリーディングケースである。答案上は、憲法上の権利(37条2項)の法的性質が「公判手続における保障」に留まり、裁判確定後の「費用の帰属」という行政的・政策的判断は立法裁量に委ねられていることを論証する際に用いる。
事件番号: 昭和37(あ)2986 / 裁判年月日: 昭和38年4月26日 / 結論: 棄却
刑訴法第一八一条第一項は憲法第三七条第二項に違反しない。このことは当裁判所の判例(昭和二三年(れ)第三一六号同年一二月二七日大法廷判決、刑集二巻一四号一九三四頁・昭和三四年(あ)第一五二〇号同三五年一月一九日第三小法廷判決、刑集一四巻一号一八頁)の趣旨に照らして明らかである。
事件番号: 昭和25(あ)3190 / 裁判年月日: 昭和25年10月19日 / 結論: 棄却
右憲法第三七条第二項の規定は証人尋問に要する費用は、すべて国家でこれを支給し、訴訟進行の過程において、被告人にこれを支弁せしむることなく、被告人の無資産などの事情のために、充分に証人の喚問を請求する自由が妨げられてはならないという趣旨であつて、もつぱら判事被告人をして訴訟上の防禦を遺憾なく行使せしめんとする法意にもとず…