A海区漁業調整委員会委員は、B漁業協同組合の漁場の使用をめぐる紛争について調停をする職務権限をも有する。
佐渡海区漁業調整委員会委員の職務権限。
漁業法67条1項,漁業法83条,漁業法85条,地方自治法180条の5第2項4号,地方公務員法3条3項1号
判旨
海区漁業調整委員会の会長が小委員会の委員として漁場の使用をめぐる紛争の調停を行うことは、刑法197条の職務権限に含まれる。
問題の所在(論点)
海区漁業調整委員会の会長が、個別の紛争調停を行う小委員会の委員として活動する行為が、収賄罪における「職務」に該当するか。
規範
賄賂罪(刑法197条)における「職務」とは、公務員がその地位に基づいて法律上行使しうる権限に属する事務を指す。また、本来の職務そのものだけでなく、これに密接に関連する事務や、慣行あるいは法令の趣旨に基づき実質的に担当する事務も含まれると解される。
重要事実
被告人Cは、A海区漁業調整委員会の会長であった。当該委員会において、B漁業協同組合の漁場使用をめぐる紛争が発生し、これを解決するために小委員会が設置された。Cは、会長としての地位にありながら、同時にこの小委員会の委員として紛争の調停を担当する職務に従事していた。
あてはめ
CはA海区漁業調整委員会の会長という公務員の地位にあり、かつ同委員会を代行する小委員会の委員として、漁場の使用紛争を調停する具体的な職務権限を付与されていた。このように、法令または委員会の決定に基づき個別の紛争解決にあたることは、委員会の設置目的に照らしても、その地位に基づき行使されるべき正当な職務の範囲内にあるといえる。したがって、当該調停行為は収賄罪の客観的構成要件たる「職務」に該当する。
結論
被告人が小委員会の委員として漁場の紛争調停を行うことは職務権限に属するため、これに関連して賄賂を授受すれば収賄罪が成立する。
実務上の射程
海区漁業調整委員会の委員による職務権限の範囲を肯定した事例である。司法試験においては、収賄罪の「職務」の範囲が争点となる際、補助機関や分掌された事務であっても、実質的に公務執行の公正さが保護されるべき立場にある場合には広く肯定されるという論理の補強として活用できる。
事件番号: 昭和38(あ)2226 / 裁判年月日: 昭和40年1月14日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】賄賂罪における「職務に関し」の要件については、公務員の一般的職務権限に属するものであることを要する。被告人の行為が具体的職務権限に基づくものであることが認定されれば、同要件を充足する。 第1 事案の概要:被告人Aは、その職務行為に関して賄賂を授受したとして収賄罪に問われた。弁護人は、当該行為が職務…