公衆浴場法第二条および昭和二四年奈良県条例第二号公衆浴場法施行条例第一条の二は、憲法第二二条、第一四条に違反しない。
公衆浴場法第二条および昭和二四年奈良県条例第二号公衆浴場法施行条例第一条の二の合憲性。
公衆浴場法2条,昭和24年奈良県条例2号公衆浴場法施行条例1条の2,憲法22条,憲法14条
判旨
公衆浴場法2条及び各都道府県の条例による公衆浴場の距離制限規定は、公共の福祉のために必要かつ合理的な制限であり、憲法22条1項の職業選択の自由及び憲法14条1項の法の下の平等に反しない。
問題の所在(論点)
公衆浴場法2条及び条例による、公衆浴場の設置場所に関する距離制限(新規参入の制限)が、憲法22条1項(職業選択の自由)および憲法14条1項(平等権)に違反するか。
規範
職業選択の自由(憲法22条1項)に対する制限は、公共の福祉のために必要かつ合理的な範囲内で認められる。特に、公衆浴場の距離制限については、乱立による経営不振が衛生設備の低下を招き、公衆衛生に影響を及ぼすことを防ぐという積極的な公衆衛生上の目的が含まれる場合、その制限は合憲とされる。
重要事実
被告人が、公衆浴場法2条及び奈良県条例1条の2の規定に基づく距離制限に抵触する形で公衆浴場を経営しようとした。これに対し、当該規定が憲法22条(職業選択の自由)及び憲法14条(平等権)に違反するとして争われた事案である。本判決は、最大判昭30・1・26の趣旨を引用する形式で判断を示した。
あてはめ
公衆浴場は日常生活に不可欠な保健衛生施設であり、その経営が乱立によって不安定になれば、施設の改修・維持が困難となり、公衆衛生の維持に支障を来すおそれがある。本件条例等の距離制限は、このような事態を回避し、国民の健康維持という重要な公共の利益を守るために必要かつ合理的な制限といえる。したがって、特定の業者を不当に差別するものではなく、公共の福祉に基づく合理的な区別であるため、憲法14条1項にも反しない。
結論
公衆浴場法2条及び奈良県条例1条の2は、憲法22条1項及び憲法14条1項に違反せず、合憲である。
実務上の射程
本判決は先行する大法廷判決(最大判昭30・1・26)を追認したものである。職業の自由の制限に関する「二重の基準」や「目的二分論」を論じる際、公衆浴場事件は「積極目的(公衆衛生の維持)」に分類されることが多い。答案上は、許可制や距離制限が、単なる過当競争の防止(消極目的)にとどまらず、それを通じて公衆衛生という重要な公益を守るために必要最小限の手段であるかを検討する枠組みで活用する。
事件番号: 昭和28(あ)4782 / 裁判年月日: 昭和30年1月26日 / 結論: 棄却
一 公衆浴場法(昭和二五年法律第一八七号による改正後のもの)第二条第二項後段の、「公衆浴場の設置場所が配置の適正を欠くと認められる場合には、都道府県知事は公衆浴場の経営を許可しないことができる」旨の規定並びに昭和二五年福岡県条例第五四号三条の、公衆浴場の設置場所の配置の基準等を定めている規定は、いずれも職業選択の自由を…