いわゆる「トルコ風呂」は、昭和三九年法律第一二一号による改正前の公衆浴場法の規整の対象となる。
いわゆる「トルコ風呂」は公衆浴場法の規整の対象となるか
公衆浴場法(昭和39年法律121号による改正前のもの)2条1項,公衆浴場法(昭和39年法律121号による改正前のもの)7条の2,公衆浴場法(昭和39年法律121号による改正前のもの)8条1号
判旨
いわゆる「トルコ風呂」を営業する行為は、公衆浴場法上の許可を受けないで行われた場合、同法8条1号所定の無許可経営罪を構成し、職業選択の自由等を定めた憲法22条、31条に違反しない。
問題の所在(論点)
1. いわゆる「トルコ風呂」が、公衆浴場法(昭和39年改正前)の規制対象となるか。 2. 無許可で当該営業を行うことを処罰することは、憲法22条(職業選択の自由)や憲法31条(適正手続)に違反しないか。
規範
公衆浴場法(昭和39年改正前)の規制対象となる「公衆浴場」に該当する施設を、適法な許可を受けることなく業として経営する行為は、同法8条1号により処罰の対象となる。また、同法に基づく規制は公衆衛生の維持という公共の福祉を目的とするものであり、憲法22条等の基本権を侵害するものではない。
重要事実
被告人は、いわゆる「トルコ風呂」(個室付き公衆浴場)を経営していたが、公衆浴場法2条1項に基づく知事の許可を受けずに営業を行っていた。このため、同法8条1号の無許可経営罪に問われ起訴された。被告人側は、トルコ風呂が公衆浴場法の規制対象に含まれるとする解釈は憲法31条(適正手続)に反し、また同法による規制は憲法22条(職業選択の自由)に違反する旨を主張して上告した。
あてはめ
判決文によれば、トルコ風呂が公衆浴場法の規整対象となる旨の原審の判断は正当である。被告人が公衆浴場法8条1号所定の許可を受けずに業として公衆浴場を経営した事実は明らかである。このような施設が法の規整対象となる以上、所論の行政処分の違法性の有無にかかわらず、無許可営業を処罰することは、職業選択の自由や適正手続を定めた憲法の諸規定に抵触するものではないと解される。
結論
被告人の行為は公衆浴場法8条1号の罪に該当し、これを処罰することは憲法に違反しない。したがって、上告を棄却する。
実務上の射程
本判決は、公衆浴場法の「公衆浴場」の定義に、いわゆる特殊な浴場形態も含まれることを前提としている。実務上は、風俗営業等の特殊な形態であっても、公衆衛生の観点から行政規制の対象となり得ること、およびその形式的無許可営業に対する刑罰の合憲性を肯定する例として位置付けられる。
事件番号: 昭和34(あ)1422 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
公衆浴場法第二条および昭和二四年奈良県条例第二号公衆浴場法施行条例第一条の二は、憲法第二二条、第一四条に違反しない。