公衆浴場法第二条第一項、第八条第一号の規定は、職業選択の自由を保障する憲法第二二条の規定に違反しない。
公衆浴場法第二条第一項第八条第一号の合憲性
憲法22条,公衆浴場法2条1項,公衆浴場法8条1号
判旨
公衆浴場法が定める設置場所の距離制限は、公衆衛生の維持という公共の福祉の目的のために必要かつ合理的な制限であり、憲法22条1項に違反しない。
問題の所在(論点)
公衆浴場法2条1項が定める公衆浴場の設置場所に関する距離制限規定が、職業選択の自由(憲法22条1項)を侵害し、違憲とならないか。
規範
職業の自由に対する制限が、公衆衛生の維持、国民生活の安定といった公共の福祉の観点からなされる場合、その制限が必要かつ合理的である限り、憲法22条1項に違反しない。
重要事実
被告人が公衆浴場法に基づく都道府県知事の許可を受けずに公衆浴場を経営した行為に対し、同法2条1項(設置場所の制限等)及び8条1号(無許可営業の罰則)が適用された。被告人は、当該設置場所の制限は職業選択の自由を保障する憲法22条に違反すると主張し、上告した。
あてはめ
先行する大法廷判決(昭和30年1月26日)の趣旨に照らせば、公衆浴場は国民の日常生活において保健衛生上極めて重要な施設である。過当競争による経営の不安定化は、浴場の衛生設備の低下やひいては公衆衛生の不備を招くおそれがある。したがって、適正な配置を確保するための距離制限は、公共の福祉に適合する合理的制限といえる。
結論
公衆浴場法2条1項、8条1号は憲法22条1項に違反しない。
実務上の射程
消極目的規制(公衆衛生等)と積極目的規制(経済的弱者保護等)の区分が確立する以前の判例であるが、現在では「国民の生活に不可欠なサービスを安定的に供給する」という積極的・社会政策的な目的を含む合憲性判定の枠組みとして参照される。薬事法距離制限違憲判決(昭和50年)との対比で重要となる。
事件番号: 昭和34(あ)1422 / 裁判年月日: 昭和35年2月11日 / 結論: 棄却
公衆浴場法第二条および昭和二四年奈良県条例第二号公衆浴場法施行条例第一条の二は、憲法第二二条、第一四条に違反しない。
事件番号: 昭和60(行ツ)197 / 裁判年月日: 平成元年3月7日 / 結論: 棄却
公衆浴場法二条二項及び大阪府公衆浴場法施行条例二条は、憲法二二条一項に違反しない。