刑訴規則二三六条にいわゆる控訴申立人には、控訴申立をした第一審弁護人を含まない。
刑訴規則第二三六条にいわゆる控訴申立人には控訴申立をした第一審弁護人を含むか。
刑訴規則236条,刑訴法376条
判旨
数人の弁護人がある場合、主任弁護人に控訴趣意書提出最終日の通知をすれば、他の弁護人に通知しなくても刑訴規則236条に違反しない。また、同条にいう「控訴申立人」には、被告人のために控訴を申し立てた第一審弁護人は含まれない。
問題の所在(論点)
1. 数人の弁護人が選任されている場合、主任弁護人以外への控訴趣意書提出最終日の通知は必要か。2. 刑訴規則236条の通知対象である「控訴申立人」に、被告人のために控訴を申し立てた第一審弁護人は含まれるか。
規範
1. 数人の弁護人がある場合には、その1人(主任弁護人)に対してされた訴訟書類の送達又は通知は、全弁護人に対してされたものとみなされる(刑訴法32条1項参照)。したがって、主任弁護人に対し控訴趣意書提出最終日の通知がなされれば、他の弁護人に対する個別の通知は不要である。2. 刑訴規則236条に規定される「控訴申立人」とは、控訴権者たる被告人本人または検察官を指し、被告人のために控訴を申し立てた第一審弁護人はこれに含まれない。
重要事実
被告人は控訴審において3名の弁護人を選任し、そのうち1名を主任弁護人と指定して裁判所に届け出た。控訴裁判所は、当該主任弁護人に対して控訴趣意書の提出最終日を通知したが、他の弁護人1名(上告人)に対しては通知を行わなかった。また、第一審弁護人が控訴の申し立てを行っていたが、裁判所は当該弁護人に対しても通知を行わなかった。これに対し、通知を受けなかった弁護人が、訴訟手続の違法を理由に上告を申し立てた事案である。
事件番号: 昭和28(あ)3703 / 裁判年月日: 昭和30年5月11日 / 結論: 棄却
一 被告人は所持の麻薬がもはや薬効のないものと信じていた旨の主張は、単に麻薬所持の犯意を否認するものに過ぎないものであつて、刑訴第三三五条第二項の主張に当らない。 二 原審において戸田弁護人に対し控訴趣意書提出最終日指定の通知をしなかつたのは、被告人に対して右通知をなした当時、同弁護人については未だ控訴審における弁護人…
あてはめ
1. 本件では、被告人によって適法に主任弁護人が指定され、書面で届け出られている。裁判所がこの主任弁護人に対して提出最終日の通知を行っている以上、他の弁護人を代表する者への通知として効力を生じ、刑訴規則236条の弁護人への通知を欠くものとはいえない。2. また、控訴を申し立てた第一審弁護人については、同条の「控訴申立人」に該当しないと解するのが相当である。したがって、当該弁護人に対する通知がなされていないことも、同条違反には当たらない。
結論
主任弁護人に通知がなされている以上、他の弁護人や控訴を申し立てた第一審弁護人への通知がなくても適法であり、原審の手続に違憲・違法はない。
実務上の射程
主任弁護人制度(刑訴法32条、刑訴規則19条以下)が機能している場合、裁判所の通知事務は主任弁護人を対象とすれば足りることを確認した実務上重要な判例である。答案上は、弁護人が複数いる場合の通知の要否が問われた際、本判例を根拠に「主任弁護人への通知で足りる」旨を論証する。また、刑訴規則236条の「控訴申立人」の意義を限定的に解釈する際にも引用できる。
事件番号: 昭和31(あ)3468 / 裁判年月日: 昭和32年3月14日 / 結論: 棄却
一 必要的弁護事件の控訴審において、私選弁護人は控訴趣意書を提出せず、被告人がただ量刑不当を主張した控訴趣意書を提出しているに過ぎない場合、公判期日五日前に被告人より疾病を理由として右期日の延期を申請し、裁判所もまた同期日二日前に被告人に対し勾留執行停止の決定をしていても、右公判期日に私選弁護人が出頭しないときは、在廷…