一 横須賀市風紀取締条例(昭和二六年横須賀市条例第七三号)は、憲法第三一条、地方自治法第一四条に違反しない。 二 右条例第二条は、売春の主体を女性のみに限定しているものではない。
一 横須賀市風紀取締条例は憲法第三一条、地方自治法第一四条に違反するか 二 右条例第二条の趣旨
憲法31条,憲法34条,地方自治法14条,横須賀市風紀取締条例2条,横須賀市風紀取締条例7条
判旨
売春の主体のみを処罰し、その相手方を処罰しない条例の規定は、両者の行為の態様が異なる以上、法の下の平等に反しない。また、条例において売春の主体を女性に限定していない場合には、性別による差別にも当たらない。
問題の所在(論点)
売春の主体のみを処罰し相手方を処罰しない規定、および売春の主体に対する処罰が、憲法14条1項に違反するか。
規範
憲法14条1項の法の下の平等は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づく区別を許容する。行為の態様が異なる者同士を区別して取り扱うこと、および条文上の規定が性別を限定していない場合に特定の性を差別しているとはいえない。
重要事実
被告人は、横須賀市風紀取締条例違反により起訴された。弁護人は、同条例2条が売春の主体(売春をする者)のみを処罰し、その相手方を処罰しない点、および実質的に女性のみを差別している点が、憲法14条の法の下の平等に反し違憲であると主張して上告した。
あてはめ
まず、本件条例2条は、売春の主体を必ずしも女性に限定しておらず、条文上性別による差別は存在しない。次に、報酬を得て売春を行う者と、その相手方となる者とでは、社会的・道徳的な非難の対象としての「行為の態様」が異なっている。したがって、前者を処罰し後者を処罰しないことは、合理的な区別に基づくものであり、差別には当たらないと解される。
結論
本件条例は憲法14条に違反しない。したがって、上告は棄却されるべきである。
実務上の射程
平等権に関する初期の判例であり、行為態様の差異を理由とする区別の合理性を肯定する枠組みを示す。売春防止法制定前の条例による規制に関する事案であるが、共犯関係にある者の一方のみを処罰することの合憲性を論ずる際の基礎的な理論として参照し得る。
事件番号: 昭和30(あ)155 / 裁判年月日: 昭和32年6月8日 / 結論: 棄却
昭和二七年尼崎市条例第四号(尼崎市売春等取締条例)第三条は報酬を受け若しくは受ける約束で性交またはこれと類似の行為をするものを処罰するのであり、女性のみを処罰の対象とするものではない。
事件番号: 昭和27(あ)2674 / 裁判年月日: 昭和28年9月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】同種犯の中で一部の者のみが起訴され有罪となっても、その裁判は憲法14条に違反せず、また憲法37条1項の「公平な裁判所」とは組織・構成の偏頗のなさを意味するため、内容の公正妥当性を理由に同条違反を問うことはできない。 第1 事案の概要:被告人が同種の犯罪に関わった他の者が起訴されていないにもかかわら…
事件番号: 昭和54(あ)1289 / 裁判年月日: 昭和55年12月9日 / 結論: 棄却
昭和三九年長崎県条例第六一号風俗営業等取締法施行条例二四条四号が明確性を欠き憲法三一条に違反するとの主張は、被告会社の従業員がした本件所為が右規定にいう「卑わいな行為」にあたることは明らかであり、右規定は本件に適用される限りにおいては明確性を欠くとはいえないから、前提を欠く。