昭和二七年尼崎市条例第四号(尼崎市売春等取締条例)第三条は報酬を受け若しくは受ける約束で性交またはこれと類似の行為をするものを処罰するのであり、女性のみを処罰の対象とするものではない。
尼崎市売春等取締条例第三条の趣旨
憲法14条,尼崎市売春等取締条例(昭和27年尼崎市条例4号)
判旨
売春取締条例において売春を行う側のみを罰し、相手方を罰しない規定は、行為態様の相違に基づく刑事政策上の合理的区別であり、憲法14条に違反しない。
問題の所在(論点)
売春を行った者のみを処罰し、その相手方を処罰しないことが、憲法14条(法の下の平等)に違反するか。
規範
憲法14条の定める法の下の平等は、事柄の性質に応じた合理的な根拠に基づく差別を許容する。刑事罰の対象の選定において、行為の態様や性質の相違に基づき、一方を処罰し他方を処罰しないこととしても、それが刑事政策上の理由に基づく合理的な区別である限り、不当な差別には当たらない。
重要事実
被告人らは、尼崎市売春等取締条例違反(売春罪)で起訴された。同条例3条は「売春をした者」を処罰する一方で、売春の相手方となる者を処罰する規定を欠いていた。被告人らは、同条例が女性のみを処罰の対象とし、かつ相手方の男性を罰しないのは、男尊女卑の思想に基づく性別による差別であり、憲法14条に違反すると主張して上告した。
あてはめ
まず、本条例2条において売春とは「報酬を受け若しくは受ける約束で」行う行為と定義されており、処罰対象は女性に限定されていない。次に、相手方を処罰しない点については、処罰要件である「報酬を受ける」側の行為と、対価を支払って相手方となる側の行為は、その態様を本質的に異にするものである。このような行為態様の相違に着目し、一方を処罰対象とし他方を対象外とすることは、専ら刑事政策上の理由に基づくものであり、性別による差別ではない。
結論
本条例は憲法14条に違反しない。したがって、被告人らの上告を棄却する。
実務上の射程
立法府または地方公共団体の広範な立法裁量を認める判断枠組みとして活用できる。特に、対向犯的性質を持つ行為の一方のみを処罰する規定の合憲性を検討する際、行為態様の差異に基づく刑事政策的合理性の有無を判断基準とする射程を持つ。
事件番号: 昭和37(あ)1838 / 裁判年月日: 昭和37年12月18日 / 結論: 棄却
売春防止法第五条は、女性のみを処罰の対象とするものではない。
事件番号: 昭和33(あ)1330 / 裁判年月日: 昭和34年4月23日 / 結論: 棄却
一 横須賀市風紀取締条例(昭和二六年横須賀市条例第七三号)は、憲法第三一条、地方自治法第一四条に違反しない。 二 右条例第二条は、売春の主体を女性のみに限定しているものではない。
事件番号: 昭和27(あ)2674 / 裁判年月日: 昭和28年9月15日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】同種犯の中で一部の者のみが起訴され有罪となっても、その裁判は憲法14条に違反せず、また憲法37条1項の「公平な裁判所」とは組織・構成の偏頗のなさを意味するため、内容の公正妥当性を理由に同条違反を問うことはできない。 第1 事案の概要:被告人が同種の犯罪に関わった他の者が起訴されていないにもかかわら…