一 家庭裁判所において事件を受理する以前少年たる被疑者の弁護人として選任されていても、少年法第一〇条、少年審判規則第一四条によりあらためて附添人として選任されなければ、その弁護人をもつて当然に附添人であるということはできない。 二 少年を特別少年院に送致する旨の決定に対し抗告がなされた場合その少年が少年法にいう少年であるか否かについては、右送致決定当時を標準とすべきものである。
一 少年である被疑者の弁護人が、家庭裁判所において、その少年の附添人となる要件 二 特別少年院送致決定に対する抗告と、少年の年令を定める標準
少年法2条1項,少年法10条1項,少年審判規則14条1項,少年審判規則14条3項
判旨
捜査段階で選任された弁護人は、少年審判手続において当然に付添人となるわけではなく、少年法等に基づく新たな選任手続を要する。また、少年院送致決定に対する抗告審において少年か否かの判断は、原決定時を基準とすべきである。
問題の所在(論点)
1. 捜査段階で選任された弁護人は、少年審判手続において当然に付添人の地位を承継するか。2. 少年院送致決定に対する抗告審において、少年該当性を判断すべき基準時はいつか。
規範
1. 被疑者の弁護人として選任された者は、少年法10条、少年審判規則14条に基づき改めて付添人として選任されない限り、少年審判手続において当然に付添人としての地位を有するものではない。2. 保護処分等の決定に対する抗告審においては、当該少年が少年法上の「少年」に該当するか否かは、原決定(少年院送致決定等)時を標準として判断すべきである。
重要事実
本件少年は、家庭裁判所による特別少年院送致決定を受けた。これに対し、捜査段階(検察庁段階)で弁護人として選任されていた者が、少年審判手続においても当然に付添人であると主張して、手続の違法を訴えた。また、再抗告審において、少年法上の適用の是非に関し、年齢等の基準時期が問題となった。
事件番号: 昭和41(し)52 / 裁判年月日: 昭和42年3月3日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年審判の手続において、憲法37条3項が保障する弁護人依頼権の趣旨は、既に弁護士である付添人が選任されている場合にはその前提を欠き、憲法違反の問題は生じない。 第1 事案の概要:東京家庭裁判所における少年審判の手続を経て、少年側が再抗告を申し立てた事案である。再抗告人は、原審の手続に関し、国選弁護…
あてはめ
1. 本件において、弁護人選定届は福井家庭裁判所への係属以前に検察庁へ提出されたものである。少年法10条及び少年審判規則14条は独自の選任手続を予定しており、これに基づかない以上、当然の承継は認められない。2. 原決定(福井家裁の送致決定)に対する抗告の適否を判断する以上、その前提となる少年該当性も、判断の対象たる原決定時を基準として確定するのが合理的である。
結論
1. 改めて付添人として選任されない限り、捜査段階の弁護人は当然には付添人とならない。2. 少年該当性は、原決定(少年院送致決定)当時を標準として判断する。
実務上の射程
付添人の選任手続の厳格性と、少年法上の適用基準時(行為時でも抗告審判決時でもなく「原決定時」)を明確にした。実務上、逆送後の刑事手続から保護処分への移行時等における付添人選任の失念防止、および年齢超過(成人化)に伴う決定の効力を争う際の基準時として援用される。
事件番号: 昭和32(す)223 / 裁判年月日: 昭和32年4月5日 / 結論: 棄却
論旨の主張する、原決定(少年を中等少年院に送致する旨の保護処分決定)の結果として、事実上、本件少年が所論主張の高等学校教育を受ける機会を失うというようなことは、教育基本法三条一項所定の事由によつて差別的待遇を受けることに該当するものではない。
事件番号: 昭和32(し)16 / 裁判年月日: 昭和32年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】少年院送致決定の審判手続に憲法違反があるとの主張であっても、その実質が単なる法令違反の主張に過ぎない場合には、再抗告の理由として認められない。 第1 事案の概要:家庭裁判所が少年に向けて少年院送致の決定を行い、これに対し抗告がなされた。抗告裁判所が原決定を是認したため、さらに最高裁判所に対して憲法…
事件番号: 昭和37(し)14 / 裁判年月日: 昭和37年6月7日 / 結論: 棄却
本件再抗告申立書は、少年の法定代理人上野ふみ並びに附添人と称するA及び同B三名連署にかかるものであるが、記録によれば、右Aは少年の伯父であり、Bは少年の中学校教師であることが認められるにすぎず、附添人となるについて許可を受けたものではないこと明らかであるから、少年法三五条に定める抗告権者に当らない、それ故右両名の本件再…
事件番号: 平成24(し)181 / 裁判年月日: 平成24年5月1日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】原審の付添人ではなく、かつ抗告申立て時までに付添人選任届が提出されていない弁護士による抗告申立ては不適法であり、期間経過後に選任届が提出されても追認の効力は認められない。 第1 事案の概要:中等少年院送致決定に対し、弁護士が平成24年4月9日に再抗告を申し立てた。しかし、当該弁護士は原審における付…