職業安定法第六三条第二号は、憲法第二二条第一項に違反しない。
職業安定法第六三条第二号は憲法第二二条第一項に違反するか
職業安定法63条2号,憲法22条1項
判旨
職業安定法にいう「職業紹介」とは、求人・求職の申込を受けて両者の間に介在し、雇用関係成立のための便宜を図り、その成立を容易にする行為をいう。公衆衛生等に有害な業務に就かせる目的での職業紹介を禁止することは、憲法22条に違反しない。
問題の所在(論点)
職業安定法上の「職業紹介」の定義、及び有害業務に就かせる目的での職業紹介を禁止する職業安定法63条2号の合憲性が問題となった。
規範
職業安定法における「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間に介在して、両者の間における雇用関係の成立のための便宜を図り、その成立を容易ならしめる行為を指す。また、有害業務への紹介を禁止する規定は、公共の福祉のために職業の安定を図る目的から、憲法22条に違反しない。
重要事実
被告人は、公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的をもって、求人者と求職者の間に介在し、両者の雇用関係成立のための便宜を図る行為を行った。この行為が職業安定法63条2号(有害業務目的の職業紹介)に該当するとして起訴されたが、被告人側は当該行為が「職業紹介」に当たらないこと、及び同規定が憲法22条(職業選択の自由)に違反することを主張して上告した。
あてはめ
職業紹介の意義について、単なる紹介にとどまらず、求人と求職の申込みを前提として両者の間に介在し、雇用関係の成立を容易にする一切の便宜供与を含むと解した。被告人の行為は、求人者と求職者の間に介在して雇用関係成立の便宜を図るものであり、この定義に該当する。また、合憲性については、公共の福祉に基づき自由な職業紹介の弊害を除去し、職業の安定を図るという法の目的に照らせば、公衆衛生・道徳上有害な業務への紹介を禁止することは正当な制限である。
結論
被告人の所為は職業安定法にいう「職業紹介」に該当し、これを処罰する規定は憲法22条に違反しない。したがって、被告人の上告を棄却する。
実務上の射程
職業安定法5条1項の「職業紹介」の定義を判示したリーディングケースであり、無許可職業紹介(同法64条1号等)の成否が問われる事案において、介在行為の具体的内容が定義に該当するかを検討する際の規範として機能する。
事件番号: 昭和33(あ)1686 / 裁判年月日: 昭和36年12月6日 / 結論: 棄却
弁護人の上告趣意は、職業安定法六三条二号が罪の内容を定めるのに「公衆衛生又は公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で」といつているのは、罪となるべき行為の定め方があいまいであつて、罪刑法定主義を規定した憲法三一条に違反すると主張する。しかし、第一審判決の確定した事実によれば、本件は、すべて売春を業とする接客婦の雇用をあつ旋…