被告人らが被害者を強いて姦淫すべく、下半身を裸にして急激な寒冷にさらしたことを含む暴行行為により、異常体質者の被害者をシヨツク状態に陥らせ、且つ、被害者をすでに死亡したものと誤信して田圃に背負い出し放置して凍えさせた行動により相合して被害者を死に致したときは、包括的に一個の強姦致死罪が成立する。
強姦致死罪と認められる事例。
刑法181条,刑法178条,刑法179条,刑法60条
判旨
強姦の手段たる暴行等により被害者をショック状態に陥らせ、死亡したと誤信して放置し凍死させた場合、一連の行為を包括して強姦致死罪が成立する。
問題の所在(論点)
強姦の手段としての暴行によりショック状態に陥った被害者を、死亡したと誤信して放置し凍死させた場合、強姦致死罪が成立するか。第1の行為(暴行)と第2の行為(放置)が介在し、かつ第2の行為時に殺意や致死の認識がない場合の罪責が問題となる。
規範
先行する強姦の手段たる暴行等と、その後の死因となった行為(死体遺棄・放置等)が、被害者の死亡という結果に対して相合して寄与している場合には、これら一連の行動を包括的に捉え、単一の強姦致死罪(刑法181条、現・強制性交等致死罪)を構成する。
重要事実
被告人らは、被害者を強いて姦淫すべく、下半身を裸にして急激な寒冷にさらす等の暴行を加えた。これにより、異常体質であった被害者はショック状態に陥り、死の転帰への動機が与えられた。被告人らは、被害者が既に死亡したものと誤信し、被害者を背負い出して田圃に放置した。被害者の直接の死因は、この放置による凍死であった。
あてはめ
本件では、被告人らが強姦のために被害者の下半身を裸にし寒冷にさらした暴行が、被害者をショック状態に陥らせて死亡への原因を作っている。その上で、死亡したと誤信して田圃へ放置した行動が、凍死という直接の死因をもたらした。これら二つの行為は、被害者を死に至らしめる過程において相合して作用しており、強姦の機会に行われた一連の行為として評価できる。したがって、主観的に第2行為時点で死を認識していなくとも、第1行為に基づく致死結果として包括的に把握される。
結論
被告人らの所為は、包括的に単一の強姦致死罪を構成する。
実務上の射程
いわゆる「因果関係の錯誤」の一場面であるが、判例は「包括的一罪」として処理する構成を採る。答案上は、第1行為と第2行為を分断せず、強姦の機会における一連の行為が死の結果を招いたことを指摘し、因果関係の断絶を否定する論理として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4027 / 裁判年月日: 昭和30年7月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強姦致死傷罪(刑法181条)における傷害の発生時期について、強姦の犯行に着手した後、その手段である暴行によって傷害が生じた場合は、同罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は強姦の犯行に着手したが、その際に行った暴行によって被害者に傷害を負わせた。第一審判決は、被告人の同意のない相被告人の供述調書…