外国人たる被告人が検察官に対して英語で供述したことを通訳人が日本語に通訳しこれを検察官が録取した書面に被告人の署名がなくても、これを英訳した調書に被告人の署名があり、右和英両文調書双方に通訳人が通訳及び翻訳の相違ないことを担保して署名しているときは、右両調書を一括して被告人の検察官に対する供述調書として、証拠能力を認めることができる。
外国人たる被告人の検察官に対する供述調書として証拠能力の認められる事例
刑訴法175条,刑訴法177条,刑訴法322条1項
判旨
被告人の供述を録取した書面について、刑事訴訟法322条1項の要件を充足し、かつ任意性に疑いがないと認められる場合には、証拠能力が認められる。
問題の所在(論点)
被告人の供述を録取した書面(供述調書)の証拠能力が認められるための要件、特に刑訴法322条1項の適用および任意性の有無が問題となる。
規範
被告人の供述を録取した書面については、刑事訴訟法322条1項に基づき、被告人の署名・押印があり、かつ、その供述が被告人に不利益な事実の承認を内容とするか、又は特に可信すべき情況の下にされたものである場合には証拠能力が認められる。また、憲法38条2項及び刑訴法319条1項の趣旨に鑑み、当該供述が任意にされたものであることが必要である。
重要事実
被告人の供述調書が作成されたが、弁護人は当該調書について、刑訴法322条1項の要件を欠いていること、および任意性なく作成されたものであることを主張して、その証拠能力を争い上告した。
あてはめ
本件における供述調書は、刑訴法322条1項所定の要件を充足しており、原判決の判断に同条の違反は認められない。また、記録を精査しても、当該調書が任意性なく作成されたという事実は認められず、供述の任意性が肯定される。したがって、伝聞例外としての要件および自白排除法則による制限のいずれにも抵触しない。
結論
本件供述調書の証拠能力を認めた原判断は正当であり、刑訴法322条1項違反や任意性の欠如を理由とする上告は理由がない。
実務上の射程
被告人の供述調書の証拠能力を検討する際、刑訴法322条1項の伝聞例外要件の充足性と、刑訴法319条1項の任意性の調査という二段構えの審査が必要であることを示唆する判決として位置づけられる。
事件番号: 昭和27(あ)3814 / 裁判年月日: 昭和27年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】共同被告人の自白であっても、それが脅迫に基づき任意にされたものでない疑いがない限り証拠能力が認められ、また他に補強証拠が存在する場合には自白のみによる処罰の禁止(憲法38条3項)には抵触しない。 第1 事案の概要:被告人が共同被告人の供述について、脅迫に基づき任意にされたものではない疑いがある自白…