公職選挙法第一三七条の三の規定は憲法第一一条、第一五条および第四四条の趣旨に違反しない。
公職選挙法第一三七条の三の合憲性
公職選挙法137条の3,公職選挙法252条,憲法11条,憲法15条,憲法44条
判旨
選挙犯罪者に対して一定期間、選挙権・被選挙権の行使および選挙運動の自由を制限することは、選挙の公正を確保し本人の反省を促す目的から、憲法11条、15条、44条に違反しない。
問題の所在(論点)
選挙犯罪を理由に選挙権・被選挙権のみならず、選挙運動の自由をも一律に制限する公職選挙法の規定は、憲法が保障する参政権および表現の自由(11条、15条、21条、44条等)を侵害し違憲ではないか。
規範
選挙権・被選挙権および選挙運動の自由に対する制限は、選挙の公正を害した者を不適当なものとして排除し、選挙の公正を厳粛に保持するとともに、本人の反省を促すという目的がある。この目的達成のために一定期間、公職の選挙に関与することから排除することは、憲法の参政権保障の趣旨に照らしても相当であり、不当に国民の参政権を奪うものではない。
重要事実
被告人は選挙犯罪を犯し、公職選挙法252条に基づく選挙権および被選挙権の停止処分を受けた。これに伴い、同法137条の3の規定により、停止期間中の一切の選挙運動も禁止されることとなった。被告人側は、これらの規定が国民の参政権を禁圧するものであり、憲法11条、15条、44条等に違反すると主張して上告した。
あてはめ
公職選挙法所定の選挙犯罪は、いずれも選挙の公正を害する性質を有しており、かかる犯罪を犯した者は選挙に関与せしめるに不適当な者であると認められる。したがって、選挙の公正を確保するために、これらの者を一定期間、選挙権・被選挙権の行使や選挙運動から遠ざけることは合理的な制限といえる。また、これにより本人の反省を促すことも期待されており、参政権の本質を奪うものとはいえない。以上から、選挙運動の自由の制限も、上記制限の目的を達成するための附随的かつ不可欠な制限として許容される。
結論
公職選挙法137条の3および252条の規定は憲法に違反しない。本件上告を棄却する。
実務上の射程
参政権(選挙権)の制限に関する合憲性判定基準として、初期の判例は「選挙の公正」をキーワードに緩やかな審査を行っていることを示す。現代の答案では、本判決の趣旨を汲みつつも「やむを得ない事由」があるかという厳格な基準(最大判昭51.4.14等)との接続を意識して用いるべきである。
事件番号: 昭和28(あ)4260 / 裁判年月日: 昭和30年5月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法252条が定める、選挙犯罪を理由とする選挙権及び被選挙権の停止規定は、憲法前文及び同法1条等の趣旨に反するものではなく、憲法に違反しない。 第1 事案の概要:上告人は、公職選挙法違反の罪で起訴され、有罪判決を受けた。これに対し、同法252条(選挙犯罪による選挙権及び被選挙権の停止)の規定…