自首があつたとの主張は、刑訴第三三五条第二項の主張にあたらない。
自首があつたとの主張と刑訴法第三三五条第二項
刑法42条1項,刑訴法335条2項
判旨
自首が成立するとの主張は、刑法上の刑の減軽事由にあたるものの、刑事訴訟法335条2項にいう「法律上犯罪の成立を妨げる理由」または「刑の加重減免の理由となる事実」には該当せず、判決理由において判断を示す必要はない。
問題の所在(論点)
自首の成立に関する主張が、刑事訴訟法335条2項にいう判決理由において判断を示すべき事項に該当するか。
規範
刑事訴訟法335条2項において、被告人が「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」や「刑の加重減免の理由となる事実」を主張した場合には、判決理由においてこれに対する判断を示さなければならないとされている。しかし、任意的減軽事由である自首(刑法42条1項)に関する主張は、同条項に規定する理由にはあたらないと解するのが相当である。
重要事実
被告人の弁護人は、被告人について自首が成立している旨を主張したが、原審はこれについて特段の判断を示さなかった。弁護人は、この点が刑事訴訟法335条2項違反の違法があるとして上告を申し立てた。
あてはめ
刑事訴訟法335条2項が判決に判断を要求するのは、正当防衛や必要的減免事由のように、それが認められれば必ず判決の結論に直結する重要な法的理由に限られる。自首は刑法42条1項により「その刑を減軽することができる」とされる任意的減軽事由にすぎない。したがって、裁判所が刑の量定に際して裁量的に考慮すべき事情であり、法的判断を明示すべき「刑の加重減免の理由」には当たらないと解される。
結論
自首があったとの主張は刑事訴訟法335条2項の主張にあたらず、原判決がこれについて判断を示さなかったことに違法はない。
実務上の射程
任意的減免事由(自首、過剰防衛、中止犯等)について、判決が理由で明示的に反論しなくても335条2項違反の訴訟法違反にはならないことを示す。ただし、実務上、重要な情状として自首が主張されている場合に全く触れないことは不当な量定を疑われる要因となり得るため、あくまで形式的義務の有無に関する射程である点に注意を要する。
事件番号: 昭和27(あ)1264 / 裁判年月日: 昭和28年8月18日 / 結論: 棄却
自首があつたとの主張は、刑訴第三三五条第二項の主張にあたらない。
事件番号: 昭和31(あ)93 / 裁判年月日: 昭和31年6月21日 / 結論: 棄却
刑法四二条一項の刑の減軽は、裁判所の裁量に属する事項であつて、刑訴三三五条二項に所謂法律上刑上刑の減免の理由となる事実には当らない。