既に証人として供述した者が供述内容の虚偽である旨記載した書面を提出しても、刑訴第四三五条第六号にいう「明らかな証拠をあらたに発見したとき」にあたらない。
証人として供述した者がその供述内容の虚偽である旨記載した書面を提出した場合と再審理由。
刑訴法411条4号,刑訴法435条6号
判旨
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条2項(正当防衛)が適用されるためには、客観的に同条項が予定する急迫不正の侵害等の事情が存在することが必要であり、それらが認められない場合には刑法36条の適用も含め、正当防衛は成立しない。
問題の所在(論点)
被告人が盗犯等に際して行った殺傷行為について、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条2項または刑法36条1項の正当防衛が成立するか。特に、これらの免責・阻却規定を適用するための前提事実の有無が問題となる。
規範
盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条1項各号の事態(盗犯を防止し、又は盗犯の際、財物を取り還し、犯人を逮捕し、若しくは逃走を防止し、若しくは凶器を放棄させ、若しくはその抵抗を抑圧しようとする場合)において、自己又は他人の生命、身体又は貞操に対する現在の危難を排除するため、犯人を殺傷したときは、同条2項により刑法36条1項の防衛の程度を超えた場合であっても罰しない(正当防衛)。しかし、この適用のためには、前提として同条項が予定する具体的な侵害事実や防御の必要性といった客観的事情が存在しなければならない。
重要事実
被告人AおよびBは、刑事事件における被告人として起訴された。上告審において被告人Bの弁護人は、Bの行為には盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条2項が適用されるべきであり、仮にそうでなくとも刑法36条の正当防衛が成立する旨を主張した。原判決は、本件において同条項を適用しうるような事情が当時存在した事実は認められず、認定された限りの事情によれば同条項または刑法36条を適用する余地がないと判断していた。
事件番号: 昭和29(あ)3026 / 裁判年月日: 昭和30年4月7日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】事実誤認や単なる訴訟法違反の主張は刑事訴訟法405条の上告理由に該当せず、職権調査の必要性も認められない場合は上告を棄却すべきである。 第1 事案の概要:被告人側が原判決に対し事実誤認および訴訟法違反を理由として上告を申し立てた事案。なお、具体的な公訴事実や違反の内容については判決文からは不明であ…
あてはめ
本件における被告人Bの所為について、原判決の認定によれば、盗犯等ノ防止及処分ニ関スル法律1条2項が想定するような「盗犯の防止や犯人の逮捕等の際に、生命身体等の危難を排除するために殺傷した」といえる客観的事実が認められない。したがって、同条項の適用要件を満たさないことはもとより、刑法36条の正当防衛(急迫不正の侵害に対する防衛行為)の前提となる事情も存在しないと解される。被告人の主張は原判決の認定した事実を争う事実誤認の主張にすぎない。
結論
被告人の行為について、正当防衛または盗犯防止法1条2項の適用を認めるべき事情は存在せず、上告は棄却される。
実務上の射程
盗犯防止法の正当防衛は「相当性(過剰防衛)」の要件を緩和するものであるが、「急迫不正の侵害」や「防衛の意思」といった正当防衛の基本的性質を否定するものではない。答案上、同法が問題となる場合は、まず客観的に同法1条1項各号の状況にあるかを確定し、その上で侵害の急迫性等の有無を検討する手順を確認する際に参照すべき判例である。
事件番号: 昭和26(れ)2518 / 裁判年月日: 昭和30年4月6日 / 結論: 棄却
一 検察官が、まず甲事件について起訴勾留の手続をとつた後、右勾留中の被告人を乙事件の被疑者として取り調べたとしても、検察官においてはじめから乙事件の取調に利用する目的または意図をもつて、ことさらに甲事件を起訴し、かつ不当に勾留を請求したものと認められない場合には、右取調をもつて直ちに自白を強制し、不利益な供述を強要した…
事件番号: 昭和35(あ)2795 / 裁判年月日: 昭和37年5月17日 / 結論: その他
【結論(判旨の要点)】被告人が偽造小切手であることを知っていたか否かは、量刑に重大な影響を及ぼす事実である。共謀の認定について重大な事実誤認の疑いがある場合、刑事訴訟法411条に基づき原判決を破棄しなければ著しく正義に反すると解される。 第1 事案の概要:被告人Aは、共犯者らと共謀して外国人登録証明書を偽造し、これを用…
事件番号: 昭和31(あ)3605 / 裁判年月日: 昭和35年4月19日 / 結論: 棄却
一 収賄罪における賄賂収受の場所の差異につき、起訴状の記載に「東京都北区ab丁目c番地被告人自宅」とあるのを第一審判決で「東京都北区de丁目b、f番地の当時の被告人自宅」と認定するには、訴因変更の手続を要しない。 二 控訴趣意書自体に控訴理由を明示しないで、第一審に提出した弁論要旨と題する書面の記載を援用する旨の控訴趣…