人の金員を強取しかつその現場で同人を殺害しようと企て、実行に著手したが、強取の目的も殺害の目的も遂げなかつたという場合には、刑法第二四三条第二四〇条後段の強盗殺人未遂罪の一罪として処断すべきである。
刑法第二四三条第二四〇条後段の強盗殺人未遂罪の一罪として処断すべき事例
刑法243条,刑法240条
判旨
強盗の機会に殺人の故意をもって殺人行為が行われた場合には、刑法240条後段(強盗殺人罪)が適用される。
問題の所在(論点)
強盗が殺意をもって人を殺害した場合に、刑法240条後段(強盗殺人罪)を適用すべきか、あるいは強盗罪と殺人罪の併合罪とすべきか。
規範
強盗の機会に殺人の故意をもって殺人行為が行われた場合には、強盗殺人罪(刑法240条後段)を適用すべきである。
重要事実
被告人が強盗の際、殺意をもって殺人行為に及んだ事案(詳細な具体的態様は判決文からは不明だが、第一審および原審が刑法240条後段、243条を適用して有罪とした事実がある)。
あてはめ
本件において、被告人が強盗の機会に殺人行為を行ったことは、刑法240条後段の規定する「強盗が人を死亡させた」場合に該当し、殺意がある場合であっても同条が適用される。原審が刑法240条後段(および未遂の場合は243条)を適用した判断は、過去の大審院連合部判決および最高裁の先例に照らして正当である。
事件番号: 昭和26(あ)2474 / 裁判年月日: 昭和26年12月20日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】強盗殺人罪(刑法240条後段)の成立には、強盗の機会に殺意をもって人を死亡させた場合も含まれ、当初から殺害して金品を強取する意思で犯行に及んだ場合であっても同罪が成立する。 第1 事案の概要:被告人は、以前から自分を馬鹿にしてきたAに対し、自殺する前にAを殺害して道連れにし、そのついでにA方から金…
結論
強盗の機会に殺意をもって殺人行為が行われた場合、刑法240条後段が適用される。
実務上の射程
強盗殺人罪(240条後段)の成立には、過失(致死)のみならず、殺意(故意)がある場合も含まれることを確認する射程を持つ。答案上は、強盗致死傷罪の結果的加重犯的性質と故意犯の包摂関係を説明する際の根拠として活用できる。
事件番号: 昭和31(あ)2368 / 裁判年月日: 昭和32年9月13日 / 結論: 棄却
犯人が債務の支払を免れる目的をもつて債権者に対しその反抗を抑圧すべき暴行、脅迫を加え、債権者をして支払の請求をしない旨を表示せしめて支払を免れた場合であると、右の手段により債権者をして事実上支払の請求をすることができない状態に陥らしめて支払を免れた場合であるとを問わずひとしく刑法第二三六条第二項の不法利得罪を構成するも…
事件番号: 昭和32(あ)3259 / 裁判年月日: 昭和33年6月24日 / 結論: 棄却
婦女を強姦した上所持品を強取しようと決意し、まずその前頸部を扼して失神させ被害者の自転車を隠す等の行為に出で、強姦の点は未遂に終つた後即時犯行の発覚をおそれて殺意を生じ殺害した場合は、刑法第二四〇条後段、第二四一条前段、第二四三条、第五四条第一項前段を適用すべきものである