食糧管理法施行規則第四七条の法定の除外事由は、刑訴第三三五条第二項の「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」にあたる。
食糧管理法施行規則第四七条の法定の除外事由と刑訴法第三三五条第二項。
食糧管理法施行規則47条,刑訴法335条
判旨
食糧管理法施行規則等の法令に定められた罰則の適用除外事由は、刑事訴訟法335条1項の「罪となるべき事実」ではなく、同条2項の「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」に該当する。したがって、当事者からの主張がない限り、裁判所がこれについて判断を示す必要はない。
問題の所在(論点)
法令に定められた罰則の適用除外事由(法定除外事由)が、刑事訴訟法335条1項の「罪となるべき事実」として裁判所が当然に判示を要するものか、それとも同条2項の「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」として主張がある場合にのみ判示を要するものか。
規範
刑事訴訟法335条1項の「罪となるべき事実」とは、犯罪の構成要件に該当する具体的記述を指す。これに対し、法令上の免除・除外事由(法定除外事由)は、構成要件該当性を前提とした上で犯罪の成立を否定させる事情であり、同条2項の「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」に該当する。そのため、被告人側から明確な主張がなされない限り、判決にその存否を記載する必要はない。
重要事実
被告人は食糧管理法違反で起訴された。弁護人は、食糧管理法施行規則47条に定められた法定除外事由が存在するにもかかわらず、原審がこれについて判断を遺脱したことは違法であると主張して上告した。記録上、被告人または弁護人は第1審および控訴審において当該除外事由について何ら具体的な主張を行っていなかった。
あてはめ
本件における食糧管理法施行規則47条の法定除外事由は、構成要件要素ではなく、犯罪の成立を妨げるべき特別の事情にすぎない。よって、これは刑事訴訟法335条2項の事由に該当する。本件記録によれば、被告人側からこの点に関する主張は全くなされていない。主張がない以上、裁判所には同条2項に基づく判断を示す義務は生じないため、判断遺脱の違法があるとはいえない。
結論
法定除外事由は刑訴法335条2項の事由であり、主張がない限り判決で判断を示す必要はない。本件上告は棄却される。
実務上の射程
違法性阻却事由や責任阻却事由、および本件のような法定の罰則除外規定について、裁判所の判示義務の範囲を画する際の基準となる。答案上は、335条2項の「法律上犯罪の成立を妨げる理由となる事実」の例示として、当事者の主張が判示の前提条件であることを論じる際に引用する。
事件番号: 昭和30(あ)3887 / 裁判年月日: 昭和33年3月11日 / 結論: 棄却
米穀の生産者に対しその生産した米穀を政府以外の者に売り渡すことを禁止した食糧管理法施行令第五条の五の罪が成立するときは、同条のほかさらに主要食糧の所有者に対する譲渡制限を規定した同法施行令第八条の罪もしくは何人も米穀を政府以外の者に譲り渡してはならない旨規定した同法施行規則第三九条の罪は成立しないものと解すべきである。