賍物に対する罪は、被害者が民法の規程によりその物の回復を請求する権利を失わない以上、その物につき成立し得る。
賍物罪の成立と民法第一九二条。
刑法256条,民法192条,民法193条
判旨
盗品等関与罪は、被害者の追求権という財産権の保護を目的とするため、被害者が民法上の回復請求権を失わない限り、当該物件について同罪が成立する。
問題の所在(論点)
被害者が民法上の回復請求権を失っていない場合において、当該物件について盗品等関与罪(賍物罪)が成立するか。
規範
盗品等関与罪(刑法256条)の保護法益は、被害者が本犯によって侵害された財産を追求・回復することを困難にする行為を処罰する点にある。したがって、被害者が民法上の規定に基づき、その物の返還や回復を請求する権利を依然として有している場合には、当該物件は同罪の客体である「盗品その他財産に対する罪に当たる行為によって領得された物」に該当する。
重要事実
本件における具体的な事案の詳細は判決文からは不明であるが、被告人が関与した物件について、被害者が民法の規定によりその物の回復を請求する権利を失っていないという事情が存在した。上告人は、このような状況下での盗品等関与罪の成否を争った。
あてはめ
盗品等関与罪は被害者の財産権保護を目的とするものである。本件において、被害者は民法の規定に基づき依然としてその物の回復を請求する権利を保持している。そうであれば、法的に保護されるべき追求権が存続しているといえるから、当該物件の流通を助ける行為は依然として被害者の追求権を侵害するものとして処罰の対象となる。したがって、本件物件につき盗品等関与罪が成立すると解するのが相当である。
結論
被害者が民法上の回復請求権を失わない以上、その物につき盗品等関与罪(賍物罪)が成立する。
実務上の射程
盗品等関与罪の保護法益を「追求権」と解する立場を明確にした判例である。民法上の即時取得(民法192条)や盗品・遺失物の回復(民法193条)の規定と関連して、刑事上の盗品該当性が議論される際の基礎となる。被害者の追求権が消滅していない限り、客体性が維持されることを示す際に引用すべきである。
事件番号: 昭和26(あ)5146 / 裁判年月日: 昭和28年4月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】盗品関与罪の成立には、客体が賍物(不法に領得された財物)であることの認識が必要であるが、第一審判決が証拠に基づきその旨を判示している以上、判例違反等の上告理由は認められない。 第1 事案の概要:被告人が盗品等関与罪に問われた事案において、第一審判決が事実摘示および証拠によって、本件犯罪の目的物が賍…