無期懲役刑は憲法第一三条第三一条に違反しない。
無期懲役刑の合憲性
刑法12条,憲法13条,憲法31条
判旨
裁判官は刑の種類と分量について当事者の意見に拘束されず、独立して判断を行うべきであり、検察官の求刑は違法ではない。また、無期懲役刑は憲法13条、31条、36条に違反せず、残虐な刑罰にも当たらない。
問題の所在(論点)
1. 検察官による求刑が裁判官の量刑判断を拘束し、裁判の独立を侵害する違法なものといえるか。 2. 無期懲役刑は、憲法36条の「残虐な刑罰」に該当するか。また、憲法13条や31条に違反するか。
規範
1. 裁判官は、具体的刑罰の種類と分量について当事者双方の意見を聞いた上で、その良心に従い独立して公平に職権を行うものであり、当事者の一方の意見(求刑)に拘束されるものではない。 2. 憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」とは、人道上の見地から耐え難い苦痛を伴う刑罰を指すが、法に定められた無期懲役刑はこれに該当しない。また、生命の自由を制限する刑罰であっても、正当な手続及び公共の福祉による制限の範囲内であれば憲法13条、31条に違反しない。
重要事実
被告人は刑事裁判において無期懲役の判決を受けた。これに対し弁護人は、検察官の求刑が裁判官を不当に拘束するものであるとして違法性を主張し、さらに無期懲役刑自体が憲法13条(個人の尊重)、31条(適正手続の保障)、36条(拷問及び残虐な刑罰の禁止)に反する違憲なものであると主張して上告した。
あてはめ
1. 判例によれば、裁判官は当事者の意見を参考にしつつも、最終的には自らの良心に基づき独立して量刑を決定する職責を負う。したがって、検察官が求刑を行うことは裁判官の判断を拘束するものではなく、違法とはいえない。 2. 死刑制度を合憲とした大法廷判決の趣旨に照らせば、生命を剥奪する死刑すら適正手続の下では合憲とされる以上、自由を終身剥奪する無期懲役刑も同様に、合理的な刑罰体系の一環として憲法13条、31条に抵触しない。また、無期懲役は身体の自由を拘束するのみであり、残虐な刑罰にも当たらない。
結論
検察官の求刑は裁判官を拘束せず適法である。また、無期懲役刑は憲法13条、31条、36条に違反しない。
実務上の射程
刑事訴訟において、求刑の法的位置付け(裁判官の独立)を確認する際に引用される。また、刑罰の合憲性(特に残虐な刑罰の意義)に関する基礎的な判断枠組みとして、死刑合憲判決と並んで量刑論の前提となる判例である。
事件番号: 昭和43(あ)883 / 裁判年月日: 昭和43年10月31日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】無期懲役刑は、憲法36条が禁じる「残虐な刑罰」には当たらない。また、自白以外の補強証拠が存在する場合には、憲法38条3項に違反することなく有罪と認定できる。 第1 事案の概要:被告人AおよびBは、刑事事件において無期懲役刑を言い渡された。被告人側は上告審において、①無期懲役刑は憲法36条にいう残虐…