刀剣不法所持の犯罪は、いわゆる継続犯として一罪であり不法所持の継続の終了の時を犯罪終了時と解すべきであるから、不法所持の継続中に他の罪につき確定裁判があつても、その罪と刑法第四五条後段の併合罪となるものではない。
刀剣不法所持の継続中他の罪につき確定裁判があつたときと刑法第四五条。
銃砲刀剣類等所持禁止令2条,銃砲刀剣類等所持禁止令26条1号,刑法45条
判旨
刀剣の不法所持罪は、所持の継続が終了するまで犯罪が成立し続けるいわゆる継続犯であり、不法所持の継続の終了時をもって犯罪の終了時と解すべきである。
問題の所在(論点)
銃砲刀剣類所持等取締法違反(不法所持)の罪の性質は、一回的な行為で完結する状態犯か、それとも行為の継続を本質とする継続犯か。また、その犯罪の終了時期はいつか。
規範
特定の行為が一定期間継続することをもって犯罪の構成要件とする罪(継続犯)においては、その行為の状態が継続している間は一罪が成立し続け、その継続が終了した時点をもって犯罪の終了時期と解する。
重要事実
被告人が刀剣の不法所持により起訴された事案において、第一審判決が判示した刀剣不法所持の事実について、その犯罪の終了時期がいつであるか、また、それによる法令適用の正当性が争点となった。
事件番号: 昭和31(あ)2627 / 裁判年月日: 昭和34年12月22日 / 結論: 棄却
被告人の原判示覚せい剤譲り受けの行為については、それぞれ行為時法に従つて法律上の処遇を判断すべきものではあるが、かかる解釈に基き擬律をすると、同被告人の右昭和二九年法律第一七七号の施行前の覚せい剤各譲り受けと同法施行後の常習および営利の覚せい剤譲り受けとは併合罪として重い後者の刑に併合加重をしなければならないことになつ…
あてはめ
刀剣の不法所持という犯罪の性質を検討するに、所持という状態の継続そのものが禁止されている。したがって、本件は継続犯として一罪を構成するものと解される。そうであるならば、物理的に不法な所持の状態が終了したとき、すなわち「不法所持の継続の終了の時」が客観的な犯罪の終了時となる。原判決がこの解釈に基づき法令を適用したことは正当であると評価できる。
結論
刀剣不法所持罪は継続犯であり、不法所持の継続が終了した時が犯罪の終了時である。これに合致する原判決の法令適用に誤りはない。
実務上の射程
共犯の成否や公訴時効の起算点、刑罰法令の改正に伴う経過措置の適用、あるいは承継的共同正犯の成否が問題となる場面において、不法所持罪が継続犯であることを前提に犯罪の終期を特定するための規範として活用できる。
事件番号: 昭和31(あ)300 / 裁判年月日: 昭和31年5月25日 / 結論: 棄却
覚せい剤取締法第一四条にいわゆる所持とは、必ずしも覚せい剤を物理的に把持することは必要でなく、その存在を認識してこれを管理しうる状態にあるをもつて足りると解すべきである。
事件番号: 昭和42(あ)2479 / 裁判年月日: 昭和43年11月7日 / 結論: 棄却
累犯関係の有無は、前刑の執行を終りまたは執行の免除があつた日から五年の期間内に、犯罪の実行行為をしたか否かを基準にして決すべきものであつて、五年の期間内に、犯罪行為の着手があつたか否かのみを基準にして決すべきものではない。
事件番号: 昭和30(あ)1665 / 裁判年月日: 昭和31年1月12日 / 結論: 棄却
昭和二八年三月一〇日頃から同年六月末日頃までの間に接続して一一回に覚せい剤を譲受けた行為と、その覚せい剤の一部を同年七月一四日頃居宅炊事場の石油罐または土蔵内にそれぞれ隠匿所持していた行為とは、各別個の罪を構成し併合罪となる。
事件番号: 平成7(あ)188 / 裁判年月日: 平成9年5月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】銃砲刀剣類所持等取締法の自首減免規定は、罪刑の均衡を欠かず、また自己負罪拒否特権を侵害するものでもないため、憲法14条、31条、38条等に違反しない。 第1 事案の概要:被告人は、平成7年改正前の銃砲刀剣類所持等取締法31条の2第2項(拳銃等の自首減免規定)の適用に関し、同規定が罪刑の均衡を欠き憲…