食糧管理法第九条第一項にいう「譲渡其ノ他ノ処分」の中には、譲受や買受をも含むものと解するのが相当である。
食糧管理法第九条第一項にいう「譲渡其ノ他ノ処分」の意義
食糧管理法9条,食糧管理法施行令6条
判旨
食糧管理法9条1項の「譲渡其ノ他ノ処分」には譲受や買受も含まれ、同法施行令の買受禁止規定は委任の範囲を逸脱せず合憲である。
問題の所在(論点)
食糧管理法9条1項にいう「譲渡其ノ他ノ処分」の中に「買受」が含まれるか。また、同法に基づき買受を禁止した施行令6条1項は委任の範囲を逸脱し無効とならないか。
規範
法律が「譲渡其ノ他ノ処分」を制限・禁止する命令の委任を定めている場合、その文言には反対概念である譲受や買受も含まれると解するのが相当である。したがって、法律が禁止命令をなす権限を委任している趣旨には、これら買受行為を禁止する命令を制定することも包含される。
重要事実
被告人が、食糧管理法施行令6条1項の規定に違反して主要食糧を買受ける行為を行った。弁護人は、親法である食糧管理法9条1項が「譲渡其ノ他ノ処分」の禁止等を委任しているに過ぎないため、施行令が「買受」まで禁止することは委任の範囲を逸脱し、違憲であると主張した。
あてはめ
食糧管理法9条1項の「譲渡其ノ他ノ処分」という文言は、単に一方的な処分のみを指すのではなく、取引の性質上、裏返しの関係にある譲受や買受をも含むものと解される。本件施行令6条1項が主要食糧の買受行為を禁止している点は、親法が主要食糧の流通を統制するために必要な命令をなすことを得るとした委任の趣旨の範囲内にあるといえる。したがって、当該施行令は委任の範囲を逸脱したものではない。
結論
食糧管理法9条1項は買受行為の禁止命令をなす権限を包含しており、施行令の規定は合憲・有効である。上告を棄却する。
実務上の射程
委任立法の限界に関する初期の判例であり、法律の文言を弾力的に解釈することで委任の範囲を肯定している。ただし、現代の罪刑法定主義(明確性の原則)の観点からは、処罰規定の委任についてより厳格な解釈が求められる可能性があるため、あてはめの手法として参照する際には注意が必要である。
事件番号: 昭和26(あ)4896 / 裁判年月日: 昭和27年12月19日 / 結論: 棄却
食糧管理法第九条にいう譲渡その他の処分の中には、売買をも含むものと解するのが相当である。従つて、同法第九条は、政府が本件の如き主要食糧の買受行為を禁圧するため必要な命令をなすことを得る趣旨をも包含するものと解すべきは勿論である。