刑訴第三九二条は憲法第一三条、第七六条第三項に違反しない。
刑訴第三九二条の合憲性
憲法13条,憲法76条3項,刑訴法392条
判旨
選挙運動者に対し、選挙人に供与させる投票買収等の資金として金員を交付する行為は、交付者と受領者との間に買収の共謀が成立していない場合であっても、公職選挙法違反罪(買収罪)を構成する。
問題の所在(論点)
選挙運動者に対し買収資金を交付する行為において、交付者と受領者の間に買収の「共謀」が認められない場合でも、買収罪等の公職選挙法違反が成立するか。また、これを有罪とすることが憲法21条(結社の自由)等に違反しないか。
規範
公職選挙法における買収罪の成否に関し、特定の候補者を当選させる目的をもって、選挙運動者や選挙人への買収資金として金員を交付した事案においては、交付者と受領者との間で具体的な投票買収の共謀が成立していることは必ずしも必要とされない。
重要事実
被告人は、参議院議員候補者Aと共謀し、Aを当選させる目的で、その選挙区内の選挙運動者や選挙人に対する投票買収等の資金として、選挙運動者Bらに対して金員を交付した。弁護人は、本件金員は政党支部への寄附であり、また受領したBらとの間に買収の共謀が認められない以上、罪は成立しないと主張して上告した。
あてはめ
被告人が交付した金員は、政党への正当な寄附ではなく、候補者を当選させる目的で選挙運動者等に供与させるための買収資金であると認定される。この際、受領者である選挙運動者Bらとの間に買収の共謀が存在しなかったとしても、買収資金として交付したという客観的事実および主観的意図が認められる以上、公職選挙法違反の成立を妨げない。したがって、前提事実を欠く違憲主張や判例違反の主張は採用できない。
結論
被告人と金員の受領者との間に買収の共謀が認められない場合であっても、買収資金としての交付であれば有罪であり、原判決の判断に憲法違反や解釈の誤りはない。
実務上の射程
選挙資金の交付が「正当な寄附」か「買収資金」かの区別は実態に即して判断される。共謀の不存在を理由に買収罪の成立を否定する弁護側の抗弁を排斥する際に有用な判例である。
事件番号: 昭和30(あ)826 / 裁判年月日: 昭和31年11月30日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】投票買収を共謀した者の間における買収資金の授受は、他人に投票買収を行うための共謀が認められない限り、判例の射程外であり、公職選挙法違反罪の成立を妨げない。 第1 事案の概要:被告人AおよびCらは、公職選挙法違反(買収)の罪に問われた。弁護人は、AとCとの間で授受された金員は、投票買収を共謀した者の…