他人が盗伐後現場に放置した村有林の伐木を窃盗する所為は、村有林の管理者である村長において右伐木の存在を知ると否とにかかわらず、森林窃盗の罪にあたる。
他人が盗伐後現場に放置された伐木の窃取と森林窃盗の成立
森林法施行法(昭和26年法律250号)24条1項,森林法(明治40年法律43号)83条,刑法254条,刑法235条
判旨
自白の補強証拠は、自白の真実性を保障し得るものであれば足り、必ずしも犯罪事実のすべてに及ぶことを要しない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法319条2項にいう補強証拠は、犯罪事実のどの範囲まで及ぶ必要があるか。特に、自白で述べられた犯罪事実の細部(数量等)までを直接裏付ける必要があるか。
規範
自白の補強証拠は、自白が架空のものではなく真実であることを保障し得るものであれば足り、犯罪事実の全部を証するものである必要はない。また、複数の証拠を総合して犯罪事実を認定できる場合、自白のみを証拠としたことにはならない。
重要事実
被告人Aが松木材を窃取・運搬した事実について、被告人の供述調書(自白)が存在した。弁護人は、証人らの供述では窃取した松木材の全石数を特定できず、自白を唯一の証拠として認定した部分があるため、補強証拠を欠き違憲・違法であると主張した。原審は、証人の供述調書等に基づき、松木材の石数が約百石であったことを含む原判示事実を認定していた。
あてはめ
被告人の検察官に対する供述は、自由心証に基づき真実と認められる。補強証拠については、自白の真実性を保障すれば足りるため、犯罪事実のすべてを網羅する必要はない。本件では、被告人の自白以外に証人Cの供述調書が存在し、そこには松木材の石数が約百石であった旨の記載がある。これらを総合すれば原判示事実を認定可能であり、自白のみを唯一の証拠としたものとはいえない。
結論
補強証拠は自白の真実性を保障すれば足り、本件の証拠関係から自白の補強は十分である。したがって、自白を唯一の証拠とした違法はない。
実務上の射程
自白の補強法則(憲法38条3項、刑訴法319条2項)に関する基本判例である。実務上、補強証拠が犯罪事実の客観的側面の「重要部分」に及ぶ必要があるかという実質説的議論があるが、本判決は「真実性の保障」を基準とする実質説の立場を明示しており、石数などの細部について個別の補強が不要であることを示す際に引用できる。
事件番号: 昭和25(あ)2339 / 裁判年月日: 昭和26年6月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】憲法38条3項が自白の補強証拠を要求する趣旨は、架空の自白による誤判を防止する点にある。したがって、補強証拠は自白の真実性を保証するに足りるものであれば足り、犯罪事実の全範囲を裏付ける必要はない。 第1 事案の概要:被告人が窃盗罪に問われた事案において、原審は多数の被害物件を認定したが、そのうち「…