公判調書に裁判所書記官の署名があるだけで、その押印を欠いていても、右裁判所書記官がこれを作成したものと認められる場合は、その公判調書は有効である。
書記官の押印を欠いた公判調書の効力
刑訴法48条,刑訴規則46条
判旨
公判調書に書記官の押印が欠けていても、当該書記官の真正と認められる署名があり、かつ裁判官の認印がある場合には、当該公判調書を直ちに無効と解すべきではない。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上、公判調書の作成において書記官の押印が欠けている場合、その調書は無効となるか(手続的瑕疵の程度と有効性)。
規範
公判調書の作成手続に瑕疵がある場合であっても、その形式的成立の真正を担保するに足りる外形的な証拠(署名・認印等)が備わっているときは、当該調書を無効とせず、証拠能力を認めることができる。
重要事実
本件における公判調書には、担当書記官の押印が欠落していた。しかし、当該調書には書記官本人による真正な署名が存在し、さらに裁判官による認印も押されていた。弁護人は、書記官の押印がないことを理由に調書の無効と判例違反を主張して上告した。
あてはめ
書記官の押印がない点は手続上の違法といえるが、本件では書記官の真正な署名があり、裁判官の認印も付されている。これらの要素により、調書が公務員によって適法に作成されたことの信頼性は十分に確保されている。したがって、単なる押印の欠落という形式的な不備によって、調書全体の効力を否定し無効とする必要はないと評価される。
結論
書記官の署名と裁判官の認印がある以上、書記官の押印がなくても公判調書は無効ではない。
実務上の射程
刑事訴訟手続における書類の作成瑕疵に関する判断指針となる。実務上、軽微な形式的不備があっても、他の記載や署名等から作成の真正が担保される限り、手続を維持する傾向にあることを示す。答案上は、手続違法の重大性と無効判断の基準として活用できる。
事件番号: 昭和26(れ)2374 / 裁判年月日: 昭和27年8月23日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】裁判長および裁判所書記官(補)の署名押印がある公判調書については、手続上の瑕疵は認められず、かつ判決において証拠として採用されていない場合には、判決に影響を及ぼすものではない。 第1 事案の概要:上告人は、特定の公判調書について署名捺印の不備等を理由に憲法違反を主張して上告した。しかし、当該記録上…