一 共犯者が選挙権及び被選挙権を停止されないのに、被告人はこれを停止されたからといつて、憲法第一四条に違反しない。 二 選挙人又は選挙運動者が投票取りまとめの報酬と、そうでない合法的な金員とを一括して供与を受けた場合にその両者の割合が明らかでないときは、その金員全部について公職選挙法第二二一条第一項四号の供与を受けた罪が成立する。
一 選挙権、被選挙権の停止について共犯者と異る取扱を受けたことと憲法第一四条 二 不法な選挙運動報酬と合法的な金員とを一括して供与を受けた場合と公職選挙法第二二一条第一項四号の罪
憲法14条,公職選挙法252条,公職選挙法221条1項
判旨
投票取まとめの報酬(非合法的金員)と合法的金員を一括して供与され、両者の割合が不明な場合、金員全部につき公職選挙法221条1項4号の受供与罪が成立する。
問題の所在(論点)
合法的金員と非合法的金員(買収の報酬)を一括して受領し、その割合が不明である場合に、公職選挙法221条1項4号の受供与罪がどの範囲で成立するか。全額について罪が成立すると解することは許されるか。
規範
選挙人または選挙運動者が、投票取まとめ運動の報酬としての非合法的金員と、それ以外の合法的金員を一括して供与された場合において、両者の割合が判然としないときは、その全額について買収罪(公職選挙法221条1項4号の受供与罪)の成立を認めるのが相当である。
重要事実
被告人は、公職選挙において投票の取りまとめ等の報酬として金員の供与を受けたが、その中には合法的活動に対する費用としての性質を持つ金員も混在していた。供与の態様は一括してなされたものであり、証拠上、買収の趣旨で提供された非合法的部分と、それ以外の正当な合法的部分の金額的な内訳や割合を明確に区分することが困難な事案であった。
あてはめ
公職選挙法221条1項4号の受供与罪は、選挙の公正を害する金員の授受を処罰するものである。本件のように、投票取りまとめという非合法的目的のための報酬が、合法的名目の金員と渾然一体となって一括供与されている場合には、供与された金員全体が買収の手段として機能していると評価できる。したがって、内訳が不明であることをもって犯罪の成立範囲を限定するのではなく、供与された金員全部について受供与罪の成立を認めるべきである。
結論
非合法的金員と合法的金員が一括供与され、その割合が不明なときは、その金員全部について受供与罪が成立する。
実務上の射程
選挙犯罪における買収罪の成否を検討する際、名目上の一部に合法性が含まれていたとしても、一括して授受され区分が困難であれば全額を犯罪組成物として扱えることを示す。実務上、買収資金の「毒まんじゅう」的性質(全体としての違法性)を肯定する強力な根拠となる。
事件番号: 昭和30(あ)459 / 裁判年月日: 昭和30年7月22日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】公職選挙法上の買収罪等において、合法的費用と違法な報酬等が分別されず包括的に授受された場合、合法的部分を区別できなくとも全体について違法な授受が成立する。また、数次にわたる交付と供与の関係が不明であっても、各行為ごとに罪が成立し、総額の中から供与されたという漠然とした関係は犯罪の成否に影響しない。…