経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいう「其ノ職務」とは、同条の定める会社、組合またはこれらに準ずるものの役職員の職務であつて同条のいう事業または業務にかかわりなく、すべてを含むと解すべきではないが、本来の独占的または統制的性質をもつ事務に局限すべきでなく、本来の事業または業務を行うために必要な関係にある事務をも含むものと解するのを相当とする。
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいう「其ノ職務」の意義
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条別表乙号
判旨
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条における役職員の「職務」とは、本来の独占的・統制的性質を持つ事務に限られず、本来の事業・業務を行うために必要な関係にある事務も含む。
問題の所在(論点)
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条における役職員の「職務」の範囲、特に本来の運輸事業そのものではない工事の発注等の付随的事務がこれに含まれるか。
規範
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律2条が定める事業または業務の公共的性質に鑑みれば、同条にいう役職員の「職務」は、本来の独占的または統制的性質をもつ事務に局限すべきではない。本来の事業または業務を遂行するために必要な関係にある事務も、同条の「職務」に含まれると解すべきである。
重要事実
被告人らが役職員を務めるC株式会社は、地方鉄道法に基づく免許を受け地方鉄道業を営む者であった。同社は線路の一部を電化するにあたり、その架線工事を外部に請負わせることとしたが、この架線工事の請負に関連する事務が、同法2条(贈収賄罪等)の対象となる「職務」に該当するかが争点となった。
事件番号: 昭和38(あ)457 / 裁判年月日: 昭和39年6月4日 / 結論: 棄却
本件A株式会社は経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条別表乙号三〇にいう「地方鉄道法第十二条ノ規定ニ依ル免許ヲ受ケ地方鉄道業ヲ営ム者」であるが、そのような会社が、線路の一部を電化するためその架線工事を請負わせることは、右会社の本来の事業たる運輸事業自体とはいえないが、前記法律第二条の適用については、右運輸事業を行なうため…
あてはめ
C株式会社は同法2条別表乙号30に規定される地方鉄道業者であり、本来の事業は運輸事業である。架線工事の請負契約は、運輸事業そのものではないものの、鉄道の電化という本来の事業を適切に遂行するために「必要な関係にある事務」であることは明らかである。したがって、被告人らが当該事務を担当している場合、それは同条にいう「職務」にあたると評価される。
結論
本来の事業を遂行するために必要な関係にある事務は「職務」に含まれる。よって、架線工事の請負に関する事務を職務外とした原判決には法令解釈の誤りがある。
実務上の射程
本判決は、公共性の高い事業を行う団体の役職員について、収賄罪等の適用対象となる「職務」の範囲を広汎に認めるものである。司法試験においては、特別法上の公務員擬制規定や贈収賄罪の「職務」概念を検討する際、主たる業務に付随する事務(契約締結や保守管理等)であっても、目的達成に必要であれば職務に含まれるとする論理として活用できる。
事件番号: 昭和28(あ)4064 / 裁判年月日: 昭和31年3月9日 / 結論: 破棄差戻
一 原判決が高等裁判所の判例と相反する判断をし、これを理由として上告された場合に、最高裁判所が先例たる判例及び原判決のいずれとも異なる見解に立ち原判決を維持するをえないときは、原判決は破棄すべきものである。 二 当裁判所判例(昭和二八年(あ)第四三八一号同三〇年五月一〇日第三小法廷判決、昭和二八年(あ)第二九〇九号、同…
事件番号: 昭和28(あ)2909 / 裁判年月日: 昭和30年7月5日 / 結論: 棄却
一 「経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律」別表乙号第二九号にあたるA配電株式会社(現在B電力株式会社)資材課員の職務に関し賄賂を供与した罪の訴因において、「機器の修理契約その代金支払手続等の事務」とある職員の職務内容を「変圧器等古機器の払下」と認定するには訴因変更の手続を要しない。 二 前記会社の資材課長の職務である「機器…
事件番号: 昭和28(あ)5626 / 裁判年月日: 昭和31年2月29日 / 結論: 棄却
経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律別表乙号二四の金融機関たる銀行の為す貸付業務は、金融緊急措置令第六条同施行規則第一三条および金融機関資金融通準則に基いて行われるものであつて、右法律第二条の経済の統制を目的とする法令により行う「統制に関する業務」である。
事件番号: 昭和39(あ)1336 / 裁判年月日: 昭和40年9月21日 / 結論: 棄却
銀行支店長代理が架空の定期預金証書を作成し交付することは、経済関係罰則ノ整備ニ関スル法律第二条にいわゆる「職務に関する行為」に当る。