昭和二四年徳山市条例第六〇号行進及び集団示威運動に関する条例は、憲法第一二条、第二一条、第三一条に違反するものではない。
昭和二四年徳山市条例第六〇号(許可制)行進及び集団示威運動に関する条例の合憲性
憲法12条,憲法21条,憲法31条,憲法98条,昭和24年徳山市条例60号
判旨
集団示威運動等について、公共の秩序保持または公共の福祉の侵害防止のため、合理的かつ明確な基準の下で事前許可制を設けることは憲法に違反しない。
問題の所在(論点)
集団示威運動等の表現の自由(憲法21条1項)を条例により制限し、事前許可制を設けることが、公共の福祉による正当な制限として憲法上許容されるか。
規範
行列行進や公衆の集団示威運動を規制する条例であっても、(1)公共の秩序を保持し、又は公共の福祉が著しく侵されることを防止する目的があり、(2)特定の場所や方法につき合理的かつ明確な基準の下、(3)あらかじめ許可を受けさせ、または届出をなさしめて、特定の場合にこれを禁止できる旨を規定するものであれば、直ちに憲法の保障する国民の自由を不当に制限するものとは解されない。
重要事実
被告人は徳山市(当時)において、同市の条例に基づき許可を要するとされていた行列行進または公衆の集団示威運動を、許可を得ずに行い、同条例違反として起訴された。被告人側は、当該条例が憲法11条、12条、21条に違反し無効であると主張して上告した。
事件番号: 昭和47(あ)2146 / 裁判年月日: 昭和50年9月30日 / 結論: 棄却
一 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)四条三項による許可条件の付与は、現に切迫した公衆に対する危害を防止するためばかりでなく、公衆に対する危害を予防するため公衆に対する危害に発展する可能性のある行為を禁止、制限する場合にも許される。 二 道路交通等保全に関する条例(昭和二四年秋田県条例第二五号)…
あてはめ
本件徳山市条例の内容を検討するに、行列行進や集団示威運動が公共の秩序を乱し、または公共の福祉を著しく侵害することを防止する目的を有している。また、その規制は特定の場所や方法について合理的かつ明確な基準を設けた上での事前許可制という形をとっており、先行する大法廷判決の趣旨に照らせば、憲法が許容する範囲内の制約を具備していると認められる。
結論
本件徳山市条例は憲法に違反せず、同条例を適用して被告人を有罪とした原判断は正当である。
実務上の射程
集団行動の自由に対する事前規制(許可制)の合憲性判断の基準を示した。新潟県公安条例事件等の先例を踏襲するものであり、現在でも「合理的かつ明確な基準」による限定的な事前規制の枠組みを論述する際の基礎となる。
事件番号: 昭和28(あ)4841 / 裁判年月日: 昭和35年7月20日 / 結論: 棄却
昭和二五年広島市条例第三二号集団行進及び集団示威運動に関する条例は、憲法第二一条、第一一条、第一三条に違反しない。
事件番号: 昭和46(あ)689 / 裁判年月日: 昭和50年9月30日 / 結論: 棄却
一 だ行進やすわり込みは、集団行動による思想の表現のために不可欠のものではなく、これを禁止しても、思想表現行為としての集団行動の本質的意義と価値を失わしめ憲法上保障される表現の自由を不当に制限することにならないから、このような条件に違反したもののうちどの範囲のものを処罰するかは立法政策の問題にすぎない。 二 行進又は集…
事件番号: 昭和46(あ)499 / 裁判年月日: 昭和50年9月25日 / 結論: 棄却
一 行進又は集団示威運動に関する条例(昭和二四年愛知県条例第三〇号)四条三項に基づき公安委員会が条件を付するについては、その条件が集団行動による思想の表現それ自体を事実上制約する結果となる場合でない限り、集団行動自体を不許可にするための要件が存在することを必要としない。 二 集団行動につき公安委員会が付した許可条件に違…
事件番号: 昭和46(あ)1176 / 裁判年月日: 昭和50年9月10日 / 結論: 破棄自判
一 昭和二七年徳島市条例第三号集団行進及び集団示威運動に関する条例三条三号が集団行進等についての遵守事項の一として、「交通秩序を維持すること」を掲げているのは、道路における集団行進が一般的に秩序正しく平穏に行われる場合はこれに随伴する交通秩序阻害の程度を超えた、殊更な交通秩序の阻害をもたらすような行為を避止すべきことを…