一 物品税の課税標準価格は、通常の取引形態および取引事情における価格、したがつて適正な市場価格または取引価格でなければならないものであつて、統制額の定めのある物品についてはその統制額がこれにあたる。 二 物品税は月を標準として申告、課税、徴収するいわゆる月税であつて、その逋脱罪もまた月を標準として罪数を定めるべきである。 三 通告の金額が過当であるからといつて、通告そのものが無効であつて、通告なきに帰するといえないことは論を待たない。 四 公訴の逋脱金額が通告書及び告発書記載の金額と異つているからといつて、その公訴を無効であるといえないことは多言を要しない。 五 昭和二四年一二月二七日法律第二八六号による改正前の物品税法が適用せられる事件につき、逋脱しようとした物品税額を金五五、〇〇八円と認定しながら、同法第一八条第一項だけを適用して、右金額の五倍である二七五、〇四〇円を超え、罰金二九五、〇四〇円を言渡した判決は刑訴第四一一条脱一号により破棄を免れない。
一 統制額の定めのある物品と物品税の課税標準価格 二 物品税の性質と物品税逋脱罪の罪数 三 国税犯則取締法第一四条に基く通告金額が過当なる場合とその通告の効力 四 公訴の逋脱金額が通告書及び告発書記載の金額と異つている場合とその公訴の効力 五 刑訴第四一一条第一号にあたる事例 ―法定の金額を超えた罰金を言渡した場合―
物品税法の一部改正法律(昭和24年法律286号)附則8項,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)1条1種戌類,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)2条1種戌類,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)3条,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)8条,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)10条,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)18条,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)21条,物品税法(昭和24年法律第286号改正前)22条,物品税法(右改正前)18条1項,物品税法(右改正前)22条,昭和22年物価庁告示847号,国税犯則取締法14条,国税犯則取締法17条,刑訴法256条,刑訴法411条1号
判旨
物品税逋脱罪における罪数は、物品税が月を標準として申告・課税徴収される月税であることに鑑み、月を単位として定めるべきである。また、通告金額や告発金額が起訴事実と多少相違しても、通告や告発の効力は妨げられず、公訴は有効に成立する。
問題の所在(論点)
1. 月ごとに課税される物品税の逋脱罪について、罪数の決定基準をいかに解すべきか。 2. 通告金額の過当や、告発金額と起訴事実の差異は、通告・告発の効力および公訴の有効性に影響を及ぼすか。
規範
物品税逋脱罪の罪数は、当該税種が月を単位とする申告納税方式(月税)を採用しているという実体法上の性質に基づき、月を標準として決定される。また、租税犯の訴追条件である通告・告発については、記載された税額と実際の逋脱額に差異があっても、通告そのものが無効となったり、公訴の効力が失われたりすることはない。
重要事実
被告会社は物品税の逋脱を行ったとして起訴された。原判決は、物品税が月税であることを理由に、月ごとに罪数を認定した。また、被告側は、税務当局による通告金額が過当であることや、公訴事実の逋脱額が告発状の金額と異なっていることを理由に、通告の無効および起訴条件の欠缺(公訴無効)を主張して上告した。
あてはめ
1. 物品税は実体法上、月を標準として申告・課税徴収が行われる性質を持つ。したがって、これに対応する罰則もまた、その管理単位である月を基準として罪数を画定するのが合理的である。 2. 通告処分の金額が過当であったとしても、通告としての意思表示は存在するため、直ちに無効とはならない。また、告発後の公訴において金額が修正されたとしても、告発の対象たる事実の同一性が保たれている限り、訴追条件としての有効性に影響はない。
結論
物品税逋脱罪は月を標準として罪数を定めるべきである。また、通告金額の過当や告発内容との相違があっても公訴は有効である。
実務上の射程
租税法違反における包括一罪と併合罪の区別において、実体法の課税単位を重視する判断枠組みを示す。また、刑事手続上の「告発」の有効性について、対象事実の特定がなされている限り、金額等の細部の相違は公訴提起の妨げにならないという実務上の準則として機能する。
事件番号: 昭和34(あ)2316 / 裁判年月日: 昭和35年4月12日 / 結論: 棄却
政府に申告せずして、物品税法所定の課税物品たる写真機を自ら製造しかつ各別の相手方に委託して製造したときは、各製造行為毎に同法第一八条第一項第一号の不申告製造罪が成立する。