パチンコ機械の物品税額は、現行法上現実に移出販売した価格の一二〇分の一〇〇に相当する価格に、一〇〇分の二〇を乗じた価額である。
パチンコ機械の物品税額。
物品税法1条1項2種丁類38,物品税法2条1項2種丁類,物品税法3条1項,物品税法3条2項
判旨
物品税逋脱罪の既遂時期は、物品税法に定められた納期日の徒過によって成立する。また、課税標準価格が判示されていれば、算術的に導出可能な移出価格の明示がなくても理由不備の違法はない。
問題の所在(論点)
物品税逋脱罪の既遂時期はいかなる時点か。また、有罪判決において課税標準価格を判示するのみで、移出価格を具体的に判示しないことは理由不備の違法にあたるか。
規範
物品税逋脱罪は、物品税法(昭和15年法律第40号)所定の納期日を経過した時点で既遂に達する。また、有罪判決の事実摘示において、課税標準価格と移出価格は一方が定まれば他方が自ずと判明する関係にあるため、課税標準価格が適法に認定されていれば足りる。
重要事実
被告人は物品税を逋脱したとして物品税法違反で起訴された。第一審判決は、犯行の時期を詳細に明示せず、また移出価格についても直接の判示を行わず、課税標準価格のみを摘示して有罪を言い渡した。これに対し弁護人は、既遂時期の不明確さや移出価格の判示欠如を理由に、判決に理由不備の違法があるとして上告した。
あてはめ
物品税逋脱罪の成立時期については、物品税法10条が定める納期日の徒過によって既遂となると解するのが相当である(先行判例を引用)。本件第一審判決が特定の時期を詳細に明示していなくとも、納期日の徒過が認められる以上、理由不備には当たらない。次に、課税標準価格と移出価格の関係については、両者は一方が特定されれば算数上当然に他方も算出できる関係にある。したがって、証拠に基づき課税標準価格が適法に認定されている以上、移出価格の特段の判示を欠いても事実摘示として不足はない。
結論
物品税逋脱罪は納期日の徒過により既遂となる。第一審判決に理由不備の違法はなく、上告を棄却する。
実務上の射程
脱税犯(逋脱犯)の既遂時期が「納期限の徒過」であることを示した点に意義がある。現在の申告納税方式による各種税法(所得税法、法人税法等)における逋脱罪の既遂時期を考える上でも、法定納期限を基準とする判断枠組みとして参照し得る。
事件番号: 昭和35(あ)2904 / 裁判年月日: 昭和38年5月29日 / 結論: 棄却
所論昭和三四年二月乃至四月の各月に製造場より移出にかかる本件ピアノの物品税逋脱罪の既遂時期は、夫々翌々月末日の経過した時、即ち、同年五月一日、六月一日、七月一日である(昭和三一年(あ)第四七号同年一二月六日第一小法廷決定、集一〇巻一二号一五八三頁参照)。