勾留の裁判に対する異議申立てが棄却され、右棄却決定がこれに対する特別抗告も棄却されて確定した場合においては、右異議申立てと同一の論拠に基づいて勾留を違法として取り消すことはできない。
勾留の裁判に対する異議申立て棄却決定が確定した後に右異議申立てと同一の論拠に基づき勾留を違法として取り消すことの可否
刑訴法87条1項,刑訴法420条1項,刑訴法420条2項,刑訴法428条2項
判旨
勾留の取消しを求めるにあたり、既に確定した勾留決定に対する不服申立手続において主張し、排斥されたものと同一の論拠に基づき、当該勾留を違法と主張することは許されない。
問題の所在(論点)
既に確定した勾留決定に対する不服申立手続において判断された事項と同一の論拠に基づき、勾留取消し手続(刑訴法91条等)において再度勾留の違法を主張することが許されるか。
規範
同一の事由に基づく勾留の違法主張の禁止:勾留の裁判に対する異議申立てが棄却され、その棄却決定に対する特別抗告も棄却されて確定している場合、再度同一の論拠に基づいて当該勾留が違法であると主張することはできない。
重要事実
被告人が勾留されたことに対し、勾留の裁判自体が違法であるとして勾留の取消しを求めた。しかし、被告人は以前に、本件と同一の論拠をもって勾留決定に対する異議申立てを行っていた。その異議申立ては棄却されており、かつ、当該棄却決定に対する特別抗告も既に棄却されて確定していたという事実がある。
事件番号: 平成19(し)170 / 裁判年月日: 平成19年6月19日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】確定した有罪判決の執行を現に受けている者による、当該事件係属中の勾留の取消請求は、刑事訴訟法上の意味ある申立てとは認められない。 第1 事案の概要:抗告人は、確定した有罪判決に基づき現に刑の執行を受けている状態にあった。抗告人は、当該判決の基礎となった被告事件の係属中になされた勾留について、その取…
あてはめ
本件において、弁護人が主張する「勾留の裁判自体の違法」という論拠は、先になされた勾留決定に対する異議申立て手続において既に主張されたものと同一である。この異議申立て棄却決定およびそれに対する特別抗告棄却決定は既に確定しており、司法判断が示されている。したがって、再度同一の理由を繰り返して勾留の違法を争うことは、手続の安定性や既判力に準ずる効力の観点から認められないと解される。
結論
本件勾留を違法ということはできず、抗告を棄却した原決定は正当である。
実務上の射程
本判決は、勾留の取消しや執行停止などの手続において、先行する不服申立手続で既に排斥された理由を再利用することを制限する。実務上、勾留後の事情変更がない限り、同一の違法事由を蒸し返す主張は排斥される可能性が高いことを示唆している。
事件番号: 平成12(し)94 / 裁判年月日: 平成12年6月27日 / 結論: 棄却
第一審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の判決を言い渡した場合であっても、控訴審裁判所は、記録等の調査により、右無罪判決の理由の検討を経た上でもなお罪を犯したことを疑うに足りる相当の理由があると認めるときは、勾留の理由があり、かつ、控訴審における適正、迅速な審理のためにも勾留の必要性があると認める限り、その審…
事件番号: 昭和42(し)26 / 裁判年月日: 昭和42年8月31日 / 結論: 棄却
甲被疑事実による勾留を利用して乙被疑事実につき取り調べた後、いつたん釈放し直ちに乙被疑事実により逮捕勾留した場合において、乙事実について公訴が提起され、その後も勾留理由があるときは、起訴前の段階における右のような勾留およびその勾留中の捜査官の取調べの当否は、起訴後における勾留の効力に影響を及ぼさない。
事件番号: 平成23(し)376 / 裁判年月日: 平成23年10月5日 / 結論: 棄却
第1審裁判所が犯罪の証明がないことを理由として無罪の言渡しをした場合であっても,控訴審裁判所は,第1審裁判所の判決の内容,取り分け無罪とした理由及び関係証拠を検討した結果,なお罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があり,かつ,刑訴法345条の趣旨及び控訴審が事後審査審であることを考慮しても,勾留の理由及び必要性が認め…
事件番号: 昭和28(し)24 / 裁判年月日: 昭和28年5月21日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】勾留の継続には、犯罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由および罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由の存続が必要である。本件においてはこれらの要件が依然として存続していると認められ、勾留の継続を相当とした原決定に憲法違反はない。 第1 事案の概要:被告人は特定の犯罪事実に係る被疑者として勾留されて…