日本国からアメリカ合衆国に対する捜査共助の要請に基づき、同国に在住する者が、黙秘権の告知を受け、同国の捜査官及び日本の検察官の質問に対して任意に供述し、公証人の面前において、偽証罪の制裁の下で、記載された供述内容が真実であることを言明する旨を記載するなどして作成した供述書は、刑訴法三二一条一項三号にいう特に信用すべき情況の下にされた供述に当たる。
国際捜査共助の要請に基づきアメリカ合衆国において作成された供述書が刑訴法三二一条一項三号の書面に当たるとされた事例
刑訴法321条1項3号
判旨
日米捜査共助に基づき、米国内で黙秘権告知を受け、日本の検察官等の質問に任意に供述し、かつ偽証罪の制裁下で真実性を言明した宣誓供述書は、刑訴法321条1項3号の「特に信用すべき情況」を充足する。
問題の所在(論点)
外交上の捜査共助に基づき、外国の公証人の面前で偽証の制裁の下に作成された宣誓供述書が、刑訴法321条1項3号にいう「特に信用すべき情況の下にされたものであるとき」に該当するか。
規範
刑事訴訟法321条1項3号の「特に信用すべき情況(特信情況)」とは、供述がなされた際の外部的状況が、虚偽の介入する危険性を排除し、供述の真実性を高度に担保するものであることを要する。国外の宣誓供述書については、作成手続の任意性、黙秘権の告知、及び偽証罪による心理的強制等の有無を総合して判断すべきである。
重要事実
日本政府からアメリカ合衆国政府への捜査共助要請に基づき、米国在住のAが、同国の捜査官及び日本の検察官の質問に対し、黙秘権の告知を受けた上で任意に供述を行った。Aは公証人の面前で、記載内容が真実であることを言明し、かつ偽証罪の制裁を受ける旨を確認して署名した宣誓供述書を作成した。
事件番号: 平成14(あ)409 / 裁判年月日: 平成15年11月26日 / 結論: 棄却
大韓民国の裁判所に起訴された共犯者が,自らの意思で任意に供述できるよう手続的保障がされている同国の法令にのっとり,同国の裁判官,検察官及び弁護人が在廷する公開の法廷において,質問に対し陳述を拒否することができる旨告げられた上でした供述を記載した同国の公判調書は,刑訴法321条1項3号にいう「特に信用すべき情況」の下にさ…
あてはめ
まず、供述の任意性について、黙秘権の告知がなされ、日米の当局者による質問に任意に応じていることから、不当な圧迫は認められない。次に、信用性の担保について、単なる署名だけでなく、公証人の面前で偽証罪の制裁を受けることを認識した上で署名している点は、心理的な虚偽防止の仕組みとして強力に機能している。したがって、書面の作成過程に高度な客観的信頼性が認められ、特信情況を充足すると評価される。
結論
米国内で作成されたAの宣誓供述書は、刑訴法321条1項3号の特信情況を充足し、証拠能力が認められる。
実務上の射程
国際的捜査共助における供述書面の証拠能力が争点となる場面で活用できる。特に、供述代用書面の「特信情況」を検討する際、単なる「書面」の形式以上に、作成時の告知手続や偽証罪の心理的強制の有無を重視すべきことを示す射程を有する。他方で、米国の宣誓供述制度特有の事情に依存している面もあるため、他国での作成書面については、その国の宣誓・偽証制度を別途確認する必要がある。
事件番号: 昭和29(あ)821 / 裁判年月日: 昭和30年12月26日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】おとり捜査の適法性に関し、被告人が自己の自由意思によって犯罪を行ったのであれば、捜査官の働きかけがあったとしても犯意誘発型には当たらず適法である。また、被告人が日本語で十分に応答・防禦できる状態であれば、通訳人を付さない審判も憲法違反とはならない。 第1 事案の概要:被告人が麻薬を譲渡した事案にお…
事件番号: 昭和31(あ)4601 / 裁判年月日: 昭和32年10月11日 / 結論: 棄却
一 外国にある弗預金を取得した代償として本邦の居住者に対して基準外国為替相場を超える支払をした場合は、外国為替及び外国貿易管理法第二八条と同法第七条第六項違反の罪が成立し、両者は観念的競合になる。 二 国外に去ることが明らかな参考人の検察官面前調書であつても証拠能力を失うものではない。
事件番号: 昭和49(あ)1185 / 裁判年月日: 昭和49年9月11日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】未決の余罪を量刑の資料として考慮することは、実質的に当該余罪を処罰する趣旨でない限り、憲法31条に違反せず許容される。 第1 事案の概要:被告人の刑事裁判において、第一審裁判所が被告人の余罪を量刑の資料として用いた。弁護人は、これが実質的に余罪を処罰するものであるとして、憲法31条(適正手続)違反…