申立提起期間内にされた異議の申立を右期間経過後にされた不敵法なものとして誤つて棄却決定をした原裁判所は、同決定に対する特別抗告の申立があつたときは、刑訴法四二三条二項により右決定を更正して新たな決定をすべきである。
刑訴法四二三条二項により更正の決定をすべきであるとされた事例
刑訴法423条2項,刑訴法428条3項,刑訴法434条
判旨
刑事訴訟法上の異議申立等の提起期間の末日が一般の休日に当たる場合、同法55条3項に基づき、期間は休日の翌日まで延長される。本判決は、期間経過を理由に申立てを棄却した原決定に対し、期間計算の誤りを指摘してこれを取り消した。
問題の所在(論点)
刑事訴訟法上の期間計算において、末日が日曜日に当たる場合の期間の満了時期、および期間経過を誤認してなされた棄却決定の違法性。
規範
1. 刑事訴訟法428条3項により準用される同法422条の異議申立の提起期間は3日である。2. 同法55条3項の規定により、期間の末日が一般の休日に当たるときは、その翌日を以て期間の末日とする。3. 裁判所が期間経過を理由に不適法として申立てを棄却した決定に明らかな期間計算の誤りがある場合、刑訴法411条1号を準用(434条、426条2項)し、著しく正義に反するものとして取り消すべきである。
重要事実
申立人は、詐欺等被告事件において訴訟費用の負担を命じられ、その執行免除の申立てをしたが棄却された。この棄却決定の謄本が昭和57年7月15日(木)に送達されたため、申立人は同月19日(月)に異議を申し立てた。しかし、原裁判所(仙台高裁)は、提起期間3日を経過した不適法なものとしてこれを棄却した。なお、期間の末日に当たる同月18日は日曜日であった。
事件番号: 昭和56(し)66 / 裁判年月日: 昭和56年6月2日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】即時抗告を棄却する決定に対して異議を申し立てることはできず、これに対する特別抗告は不適法である。また、特別抗告の提起期間は刑訴法433条2項に基づき、告知の日から5日以内と厳格に解される。 第1 事案の概要:申立人は、大阪地方裁判所になされた訴訟費用執行免除の申立てを却下する決定に対し、即時抗告を…
あてはめ
本件異議申立の提起期間は3日であり、謄本送達日の翌日である7月16日から起算すると、本来の末日は7月18日となる。しかし、同日は日曜日であり、刑訴法55条3項が適用される結果、提起期間の末日は翌19日(月)にまで延長される。したがって、19日になされた本件申立ては適法な期間内に行われたものである。原裁判所がこれを期間経過後として不適法に棄却したことは、法令の解釈・適用を誤った違法なものであるといえる。
結論
原決定を取り消し、本件を仙台高等裁判所に差し戻す。期間内に適法になされた申立てを不当に棄却した決定は、著しく正義に反し、取り消しを免れない。
実務上の射程
刑事手続における期間計算(刑訴法55条)の基本を確認する事案。答案上は、控訴、上告、異議申立等の不変期間の算定において、末日が土日祝日の場合の計算ミスに注意するための根拠として用いる。また、原裁判所が期間誤認による棄却をした場合、上級審が職権で破棄・差戻しを行う際の構成としても参照しうる。
事件番号: 昭和50(し)101 / 裁判年月日: 昭和51年2月19日 / 結論: その他
本案事件の第一審裁判所に提出された控訴取下書及び訴訟費用執行免除申立書が、同裁判所の職員によつて、控訴取下書は本案事件の記録の存する控訴裁判所に、訴訟費用執行免除申立書は控訴事件が確定してから三〇日以内に第一審裁判所に、それぞれ提出するようにと記載された書面とともに、申立人に返送されたのち、申立人が、裁判所職員の右指示…
事件番号: 昭和47(し)91 / 裁判年月日: 昭和47年11月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】特別抗告において、期限後に提出された理由の追加補充については、裁判所は判断を加える必要がない。 第1 事案の概要:抗告人が、憲法37条違反および判例違反を理由として特別抗告を提起した事案。抗告人は、抗告提起後、昭和47年11月15日付で特別抗告の理由の追加補充を提出したが、これは提出期限を過ぎたも…
事件番号: 昭和56(す)63 / 裁判年月日: 昭和56年4月28日 / 結論: 棄却
【結論(判旨の要点)】刑事訴訟法501条に基づく刑の執行に関する異議の申立ては、刑の言渡しをした確定裁判を対象とすべきであり、抗告棄却決定に対しては許されない。 第1 事案の概要:申立人が、抗告棄却決定を対象として刑訴法501条に基づく申立てを行った事案。 第2 問題の所在(論点):刑訴法501条に基づき、検察官の執行…
事件番号: 昭和58(し)39 / 裁判年月日: 昭和58年9月27日 / 結論: 棄却
刑訴法一八八条の二第一項は、費用の補償をすべき場合を無罪の判決が確定したときに限り、公訴棄却の判決が確定したときを含まない趣旨である。